2016年度・授業計画

<内容>

(1)京都大学文学研究科・キリスト教学
(2)大谷大学(キリスト教学1・2。大谷大学ホームページからシラバス・ページへ)
(3)龍谷大学(キリスト教神学A・B、聖書研究A・B。龍谷大学ホームページからシラバス・ページへ)



(1)京都大学文学研究科・キリスト教学

A.特殊講義 
1a.キリスト教思想の新しい展開──自然・環境・経済・聖書(5)(共通・前期、火2)

<授業の概要・目的>

 現代世界において宗教は、深刻な対立要因の一つと見なされている。この対立図式自体の問題性は別にしても、キリスト教がこうした文脈で問われていることは否定できない。本講義では、こうしたキリスト教思想を取り巻く思想状況を念頭に置きながら、キリスト教思想の新なる展開の可能性について議論を行いたい。扱われる問題圏は、自然・環境・経済・聖書で構成されるものである。
 取り上げられる問題は、自然神学、聖書学から日本キリスト教思想までキリスト教学の全般に及ぶが、2016年度前期は、自然神学の拡張という試みをキリスト教政治論の諸問題において具体的に展開したい。これは、「キリスト教思想の新しい展開」についての考察の締めくくりとなる。

<授業計画と内容>
0.オリエンテーション
1.自然神学拡張を再考する
2.キリスト教と政治的なもの
3.旧約聖書と契約思想
4.契約思想の射程
5.王権
6.ローマ帝国、イエス、パウロ
7.国教化と古典的政治神学
8.近代世界と政教分離
9.国民国家と立憲主義
10.社会的なものの拡張
11.ロールズ
12.自由主義と共同体主義
13.リクール
14.徹底的民主主義


1b.キリスト教思想と宗教哲学(1)──「哲学と神学」の歴史的概要──(共通・後期、火2)
<授業の概要・目的>
 現代世界において宗教は、深刻な対立要因の一つと見なされている。この対立図式自体の問題性は別にしても、キリスト教がこうした文脈で問われていることは否定できない。本講義では、こうしたキリスト教思想を取り巻く思想状況を念頭に置きながら、キリスト教思想の新なる展開の可能性について議論を行いたい。
 そのために本講義では、キリスト教思想とその宗教哲学的基盤の探求というアプローチが試みられる。キリスト教思想の新たなる展開には、こうした根本からの議論の組み立てが要求されるからである。2016年度後期は、まず、「哲学と神学」の歴史的概観が行われる。

<授業計画と内容>
0.オリエンテーション
1.哲学と神学、あるいはキリスト教神学の起源
2.オリゲネス
3.アウグスティヌス
4.トマス・アクィナス
5.ルターとカント
6.シュライアマハーとヘーゲル
7.キルケゴールとシェリング
8.ティリッヒとハイデッガー
9.リューサーとアーレント
10.モルトマンとハーバーマス
11.神
12.人間
13.宗教と文化
14.死
15.フィードバック


2a/b.キリスト教思想研究入門(学部・前期/後期、水2)

<授業の概要・目的>
 この特殊講義は、すでに系共通科目「キリスト教学講義」を受講し、キリスト教思想研究に関心のある学部生、あるいはキリスト教研究の基礎の習得をめざす大学院生を対象に行われる。キリスト教思想研究を目指す際に身につけておくべき事柄について、またいかなるテーマをどのように取り上げるのかについて、解説を行う。
<授業計画と内容>
本年度前期のテーマは、「現代キリスト教思想史──弁証法神学から1960年代」である。初回のオリエンテーションに続いて、次のような項目について、講義が進められる。一回の講義で一つの項目が取り上げられる。
0.オリエンテーション
1.西欧近代とキリスト教
2.19世紀キリスト教思想の遺産
3.バルト1
4.バルト2
5.ブルトマン1
6.ブルトマン2
7.ティリッヒ1
8.ティリッヒ2
9.H・R・ニーバー
10.ホワイトヘッドとプロセス神学1
11.ホワイトヘッドとプロセス神学2
12.ハイデッガーと解釈学的神学1
13.ハイデッガーと解釈学的神学2
14.20世紀キリスト教思想の遺産

 本年度後期のテーマは、「ポストモダン(1970年代以降)のキリスト教思想」である。初回のオリエンテーションに続いて、次のような項目について、講義が進められる。一回の講義で一つの項目が取り上げられる。
0.オリエンテーション
1.現代神学の問題状況
2.政治神学1──ティリッヒ
3.政治神学2──モルトマン
4.政治神学3──アガンベン
5.解放の神学1──フェミニスト神学
6.解放の神学2──黒人神学
7.解放の神学3──ピエリス
8.科学論の神学──パネンベルク
9.エコロジー神学1──マクフェイグ
10.エコロジー神学2──リューサー
11.エコロジー神学3──環境と経済
12.宗教の神学1──パネンベルク
13.宗教の神学2──ヒック
14.宗教の神学3──カブ


B.演習・講読
1.日本・アジアのキリスト教-無教会キリスト教の系譜(2)-(共通・前期/後期、月2)
<授業の概要・目的>
日本・アジアのキリスト教の歴史を振り返りつつ、その新しい思想的可能性を探ることは、日本におけるキリスト教思想研究にとって重要な意味を有している。この演習では、年度や学期を超えて、無教会キリスト教の思想家たちを順次検討してゆくことによって、近代キリスト教思想の重要な局面の解明がめざされている。今年度前期は、昨年に引き続き、無教会キリスト教における内村鑑三の後継者の一人である、南原繁のテキストを読み進める。

<授業計画と内容>

 前期初回の授業では、本演習のオリエンテーションを行い、演習の目的や進め方を確認する。
 二回目以降は、南原繁『国家と宗教──ヨーロッパ精神史の研究』(岩波文庫)の内、「第一章 プラトン復興」「第二章 キリスト教の「神の国」とプラトンの理想国家」を、担当者の解説を通して、順番に精読してゆく。
 後期初回の授業では、本演習のオリエンテーションを行い、演習の目的や進め方を確認する。
 二回目以降は、南原繁『国家と宗教』(1942年)の「第三章 カントにおける世界秩序の理念」「第四章 ナリス世界観と宗教」を、担当者の解説を通して、順番に精読してゆく。

2.新約聖書とその思想─パウロ研究(4)─(共通・後期、金4)
<授業の概要・目的>
 新約聖書は、キリスト教思想の基盤であり、キリスト教思想研究を志す者には、聖書原典を読む能力(語学・聖書学・聖書神学など)が求められる。本演習ではギリシャ語原典の講読を通して現代聖書学の基礎の習得を目指す。

<授業計画と内容>
 本年度は、昨年度に続き、多岐にわたる新約聖書の思想の内から、パウロのローマの信徒への手紙の第4章を講読し、パウロのテキストに即しつつその思想の内実へと迫ることを試みたい。本演習では、各種の辞書の使用法から、聖書注解書の扱い方といった、聖書テキストを読解する上で必要となる基礎的作業の習熟を目指す。受講者には、パウロの思想の理解を深めるために、Cranfieldの注解書(ICC)などの注解書の参照が求められる。
 また、David G. Horrell, An Introduction to the Study of Paul, second edition, T&T Clark, 2006. の講読を並行して行う予定である。

3.演習:キリスト教思想の基本文献を読む(共通・前期、金4)
<授業の概要・目的>
 キリスト教思想を理解し、研究するには、その基本的な文献を広くまた深く読むことが必要である。この演習では、近代以降のドイツ語による文献を精読することによって、キリスト教思想研究に必要な文献読解力の向上をめざす。

<授業計画と内容>
 今年度は、ティリッヒのキリスト教思想に関わる文献から、次のものを取り上げ、演習を行う。
 Paul Tillich, Fruehe Vorlesungen im Exil (1934-1935), Ergaenzungs- und Nachlassbaende zu den Gesammelten Werken XVII, De Gruyter, 2012.

4.講読:キリスト教思想基礎文献を読む(学部・前期/後期、木2)
<前期:授業の概要・目的>
 本講読は、キリスト教思想における基礎文献をじっくり読むことを通して、キリスト教思想研究とその方法について学ぶことを目的としている。前期は、キリスト教思想の古典というべきテキストを日本語訳で講読するが、その際に、まとまった分量のテキストから問題(テーマ)を取り出し、必要な調査(文献レベルでの)と分析が行われる。
 また、この講読は、キリスト教学専修に所属の学部生の卒論演習を兼ねており、研究発表の機会を設けることが予定されている。今年度は、シュライアマハーの『宗教論』を取り上げる。

<後期:授業の概要・目的>
 本講読は、キリスト教思想における基礎文献をじっくり読むことを通して、キリスト教思想研究とその方法について学ぶことを目的としている。後期は、キリスト教思想の古典というべきテキストを英語(あるいは英訳)で講読するが、その際に、まとまった分量のテキストから問題(テーマ)を取り出し、必要な調査(文献レベルでの)と分析が行われる。
 また、この講読は、キリスト教学専修に所属の学部生の卒論演習を兼ねており、研究発表の機会を設けることが予定されている。
 今年度は、Dieter T. Hessel and Rosemary Radford Ruether (eds.), Christianity and Ecology (2000)に所収の諸論文を読む。


C.キリスト教学講義(学部・前期/後期、木1)

   キリスト教学の主要問題について基本的な内容を概説する。

<前期授業の概要・目的>
 本講義は、キリスト教とはいかなる宗教であるのか、という問いに対して、現代宗教学の立場から客観的に論じることを目標としている。本年度は、宗教現象としてのキリスト教の基本構造を現代宗教学の諸方法(宗教現象学、宗教社会学など)によって解明し、宗教心理学から現代聖書学へと考察を進める。これによって、現代宗教学の全体像が明らかにされる。


<前期授業計画と内容>
 講義は、1回に1テーマのペースで進めます。
オリエンテーション+序論:現代世界におけるキリスト教の動向
第1講:現代宗教学の起源と意義
第2講:意味論から宗教論へ
第3講:究極的関心と信仰
第4講:聖なるものの現象学(1)─宗教の諸類型と神─
第5講:聖なるものの現象学(2)─オットーとエリアーデ─
第6講:宗教的な象徴世界
第7講:宗教心理学─フロイト─
第8講:宗教心理学─ユング─
第9講:近代聖書学とは何か
第10講:古代イスラエル民族と起源神話
第11講:キリスト教起源神話とキリスト教の起源
第12講:聖書の深層構造
第13講:イエスと神の国
第14講:聖書の家族論、講義のまとめ
試験

<後期授業の概要・目的>
現代世界における宗教を論じる場合、グローバル化と多元化という二つの動向は決定的な意義を持っている。この講義では、キリスト教思想の新しい動向(宗教と科学との関係論)を、現代世界が直面する多様な諸問題との関わりで学ぶことを目標とする。そのために、キリスト教の思想的源泉である聖書とキリスト教史(科学思想の関係性の歴史=「宗教と科学」関係史に留意する)とを参照しつつ、問題の核心に迫りたい。


<後期授業計画と内容>
 授業は、1回に1テーマのペースで進められる。
オリエンテーション+序論:キリスト教思想の意義
第1講:聖書の創造論
第2講:罪・悪の起源─エデン神話─
第3講:創造から知恵思想へ
第4講:ヘレニズム世界とキリスト教
第5講:キリスト教神学の成立と自然神学
第6講:12世紀ルネサンスと中世科学
第7講:宗教改革と近代科学─ケプラーとガリレオ─
第8講:ニュートンとデザイン神学
第9講:啓蒙的近代とキリスト教
第10講:進化論論争とは何だったのか
第11講:キリスト教と生命論(1)
第12講:キリスト教と生命論(2)
第13講:キリスト教と環境論
第14講:科学技術とキリスト教、講義のまとめ
試験

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