2017年度・授業計画

<内容>

(1)京都大学文学研究科・キリスト教学
(2)大谷大学(キリスト教学1・2。大谷大学ホームページからシラバス・ページへ)
(3)龍谷大学(キリスト教神学A・B。龍谷大学ホームページからシラバス・ページへ)



(1)京都大学文学研究科・キリスト教学

A.特殊講義 
1a.キリスト教思想と宗教哲学(2)──「解放の神学」系の思想から(共通・前期、火2)

<授業の概要・目的>

 現代世界において宗教は、深刻な対立要因の一つと見なされている。この対立図式自体の問題性は別にしても、キリスト教がこうした文脈で問われていることは否定できない。本講義では、こうしたキリスト教思想を取り巻く思想状況を念頭に置きながら、キリスト教思想の新なる展開の可能性について議論を行いたい。
 そのために本講義では、キリスト教思想とその宗教哲学的基盤の探求というアプローチが試みられる。キリスト教思想の新たなる展開には、こうした根本からの議論の組み立てが要求されるからである。2017年度前期は、現代キリスト教思想における「解放の神学」系の諸動向を参照しつつ、宗教哲学の現代的課題について考える。

<授業計画と内容>
0.オリエンテーション
1.「解放の神学」系とは何か
2.拡張された自然神学と社会科学
3.解放の神学と宗教社会主義論
4.フェミニスト神学
5.黒人神学
6.アジアの解放の神学
7.アフリカ神学の動向
8.政治神学の現在
9.宗教的寛容論
10.民主主義とキリスト教
11.戦争論と平和論
12.経済の神学
13.経済と環境
14.経済と政治
15.フィードバック


1b.キリスト教思想と宗教哲学(3)──「科学技術とキリスト教」系から──(共通・後期、火2)
<授業の概要・目的>
 現代世界において宗教は、深刻な対立要因の一つと見なされている。この対立図式自体の問題性は別にしても、キリスト教がこうした文脈で問われていることは否定できない。本講義では、こうしたキリスト教思想を取り巻く思想状況を念頭に置きながら、キリスト教思想の新なる展開の可能性について議論を行いたい。
 そのために本講義では、キリスト教思想とその宗教哲学的基盤の探求というアプローチが試みられる。キリスト教思想の新たなる展開には、こうした根本からの議論の組み立てが要求されるからである。2017年度後期は、「科学技術とキリスト教」系の諸動向を参照に現代の宗教哲学の課題を考える。


<授業計画と内容>
0.オリエンテーション
1.「科学技術とキリスト教」系の動向を見る
2.科学技術の神学と聖書学
3.エコロジーの神学1
4.エコロジーの神学2
5.環境・経済・政治
6.生命論の神学1
7.生命論の神学2
8.「宗教と科学」関係史1
9.「宗教と科学」関係史2
10.「宗教と科学」関係史3
11.「宗教と科学」関係論の現在
12.原子力とキリスト教1
13.原子力とキリスト教2
14.文明の問いとしての科学技術
15.フィードバック


2a/b.キリスト教思想研究入門(学部・前期/後期、水2)

<授業の概要・目的>
 この特殊講義は、すでに系共通科目「キリスト教学講義」を受講し、キリスト教思想研究に関心のある学部生、あるいはキリスト教研究の基礎の習得をめざす大学院生を対象に行われる。キリスト教思想研究を目指す際に身につけておくべき事柄について、またいかなるテーマをどのように取り上げるのかについて、解説を行う。
<授業計画と内容>
 本年度前期のテーマは、「新約聖書からキリスト教古代へ」である。初回のオリエンテーションに続いて、次のような項目について、講義が進められる。一回の講義で一つの項目が取り上げられる。
0.オリエンテーション
1.新約聖書と新約聖書学
2.イエスと「神の国」運動
3.病の癒やし・譬え・共同生活
4.イエスの宗教運動から初期キリスト教へ
5.初期キリスト教の多様性とパウロ
6.パウロの異邦人伝道
7.パウロ以降のキリスト教
8.ユダヤ教とローマ帝国
9.古代キリスト教1:ヘレニズム・ローマ世界、使徒教父
10.古代キリスト教2:キリスト教迫害と弁証家たち
11.古代キリスト教3:アレキサンドリア学派とオリゲネス
12.古代キリスト教4:公認・国教会と正統教会
13.古代キリスト教5:アウグスティヌス
14.古代キリスト教6:ゲルマン民族移動から中世へ
15.フィードバック

 本年度後期のテーマは、「中世キリスト教から宗教改革へ」である。初回のオリエンテーションに続いて、次のような項目について、講義が進められる。一回の講義で一つの項目が取り上げられる。

0.オリエンテーション
1.中世キリスト教世界のダイナミズム
2.西欧キリスト教世界の形成
3.キリスト教修道制1
4.キリスト教修道制2
5.教皇と皇帝
6.イスラームと12世紀ルネサンス
7.スコラ的文化総合と大学の時代
8.自然神学の諸問題
9.フィオーレのヨアキム
10.民衆・市民の新しい宗教性
11.宗教改革の意義
12.宗教改革の多様性
13.寛容のネットワーク
14.宗教戦争の帰結
15.フィードバック


B.演習・講読
1.日本・アジアのキリスト教-無教会キリスト教の系譜(7)(8)-(共通・前期/後期、金2)
<授業の概要・目的>
 前期:日本・アジアのキリスト教の歴史を振り返りつつ、その新しい思想的可能性を探ることは、日本におけるキリスト教思想研究にとって重要な意味を有している。この演習では、年度や学期を超えて、無教会キリスト教の思想家たちを順次検討してゆくことによって、近代キリスト教思想の重要な局面の解明がめざされている。今年度前期は、昨年に引き続き、無教会キリスト教における内村鑑三の後継者の一人である、南原繁のテキストを読み進める。
 後期:日本・アジアのキリスト教の歴史を振り返りつつ、その新しい思想的可能性を探ることは、日本におけるキリスト教思想研究にとって重要な意味を有している。この演習では、年度や学期を超えて、無教会キリスト教の思想家たちを順次検討してゆくことによって、近代キリスト教思想の重要な局面の解明がめざされている。今年度後期は、無教会キリスト教の原点にもどって、内村鑑三の社会論に関わる諸論考を読み進める。

<授業計画と内容>

 前期初回の授業では、本演習のオリエンテーションを行い、演習の目的や進め方を確認する。
 二回目以降は、南原繁『自由と国家の理念』(著作集第三巻、岩波書店)に収録の諸論考を、担当者の解説を通して、順番に精読してゆく。
 後期初回の授業では、本演習のオリエンテーションを行い、演習の目的や進め方を確認する。
二回目以降は、内村鑑三『社会の変革』(内村鑑三選集6、岩波書店)に所収の諸論考を、担当者の解説を通して、順番に精読してゆく。

2.新約聖書とその思想─パウロ研究(5)─(共通・後期、水3)
<授業の概要・目的>
 新約聖書は、キリスト教思想の基盤であり、キリスト教思想研究を志す者には、聖書原典を読む能力(語学・聖書学・聖書神学など)が求められる。本演習ではギリシャ語原典の講読を通して現代聖書学の基礎の習得を目指す。

<授業計画と内容>
 本年度は、昨年度に続き、多岐にわたる新約聖書の思想の内から、パウロのローマの信徒への手紙の第4章を講読し、パウロのテキストに即しつつその思想の内実へと迫ることを試みたい。本演習では、各種の辞書の使用法から、聖書注解書の扱い方といった、聖書テキストを読解する上で必要となる基礎的作業の習熟を目指す。受講者には、パウロの思想の理解を深めるために、Cranfieldの注解書(ICC)などの注解書の参照が求められる。
 また、David G. Horrell, An Introduction to the Study of Paul, second edition, T&T Clark, 2006. の講読を並行して行う予定である。

3.演習:キリスト教思想の基本文献を読む(共通・前期、水3)
<授業の概要・目的>
  キリスト教思想を理解し、研究するには、その基本的な文献を広くまた深く読むことが必要である。この演習では、近代以降のドイツ語による文献を精読することによって、キリスト教思想研究に必要な文献読解力の向上をめざす。
 今年度は、昨年度に引き続き、ティリッヒのキリスト教思想に関わる文献から、次のものを取り上げ、演習を行う。
Paul Tillich, Fruehe Vorlesungen im Exil (1934-1935), Ergaenzungs- und Nachlassbaende zu den Gesammelten Werken XVII, De Gruyter, 2012.


<授業計画と内容>
第1回:オリエンテーション(演習の目的、進め方などの説明)
第2回:ティリッヒ神学の概観(講義)と演習担当者の決定
第3~15回:担当者によるテキストの精読と討論

4.講読:キリスト教思想基礎文献を読むA・B(学部・前期/後期、木2)
<前期:授業の概要・目的>
 本講読は、キリスト教思想における基礎文献をじっくり読むことを通して、キリスト教思想研究とその方法について学ぶことを目的としている。前期は、キリスト教思想の古典というべきテキストを日本語訳で講読するが、その際に、まとまった分量のテキストから問題(テーマ)を取り出し、必要な調査(文献レベルでの)と分析が行われる。
 また、この講読は、キリスト教学専修に所属の学部生の卒論演習を兼ねており、研究発表の機会を設けることが予定されている。
 今年度は、ティリッヒの『生きる勇気』を取り上げる。
 初回の授業では、本演習のオリエンテーションを行い、演習の目的や進め方を確認する。
 二回目以降は、ティリッヒ『生きる勇気』の内、第一章「存在と勇気」から、担当者の解説を通して、順番に精読してゆく。なお、ティリッヒに関しては、教員が必要な解説を行う。


<後期:授業の概要・目的>
 本講読は、キリスト教思想における基礎文献をじっくり読むことを通して、キリスト教思想研究とその方法について学ぶことを目的としている。後期は、キリスト教思想の古典というべきテキストを英語(あるいは英訳)で講読するが、その際に、まとまった分量のテキストから問題(テーマ)を取り出し、必要な調査(文献レベルでの)と分析が行われる。
 また、この講読は、キリスト教学専修に所属の学部生の卒論演習を兼ねており、研究発表の機会を設けることが予定されている。
 今年度は、昨年度に引き続き、Dieter T. Hessel and Rosemary Radford Ruether (eds.), Christianity and Ecology (2000)に所収の諸論文を読む。
 初回の授業では、本演習のオリエンテーションを行い、演習の目的や進め方を確認する。
 二回目以降は、Dieter T. Hessel and Rosemary Radford Ruether (eds.), Christianity and Ecology (2000)の所収の論文を、担当者の解説を通して、順番に精読してゆく。なお、エコロジーの神学に関しては、教員が必要な解説を行う。


C.キリスト教学講義(学部・前期/後期、木1)

   キリスト教学の主要問題について基本的な内容を概説する。

<前期授業の概要・目的>
 本講義は、キリスト教とはいかなる宗教であるのか、という問いに対して、現代宗教学の立場から客観的に論じることを目標としている。本年度は、宗教現象としてのキリスト教の基本構造を現代宗教学の諸方法(宗教現象学、宗教社会学など)によって解明し、その後、西洋文化と聖書の関わりを多様な角度から多面的に論じる。

<前期授業計画と内容>
講義は、1回に1テーマのペースで進めます。最後(16回目)のフィードバックの仕方については、授業中に説明します。
オリエンテーション+序論:キリスト教とアジア
第1講:現代宗教学とは何か
第2講:宗教概念の諸問題
第3講:信仰と自己同一性
第4講:聖なるもの(1)─宗教類型論─
第5講:聖なるもの(2)─オットーとエリアーデ─
第6講:宗教的象徴と宗教言語
第7講:儀礼とサクラメント
第8講:聖書学─正典論、霊感説、近代聖書学─
第9講:近代人文主義と聖書翻訳
第10講:神話から告白文学へ
第11講:教会建築のコスモロジー
第12講:近代西欧文学とキリスト教(1)
第13講:近代西欧文学とキリスト教(2)
第14講:聖書と日本文学、講義のまとめ
試験
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<後期授業の概要・目的>
 現代世界における宗教を論じる場合、グローバル化と多元化という二つの動向は決定的な意義を持っている。この講義では、キリスト教思想の新しい動向を、現代世界が直面する多様な諸問題との関わりで学ぶことを目標とする。そのために、キリスト教の思想的源泉である聖書とキリスト教史とを参照しつつ、問題の核心に迫りたい。講義は聖書の思想内容の確認の後、親密圏からグローバル圏までの諸階層におけるキリスト教思想を論じ、最後に、現代世界の諸問題が扱われる。

<後期授業計画と内容>
 授業は、1回に1テーマのペースで進められる。最後(16回目)のフィードバックの仕方については、授業中に説明します。
オリエンテーション+序論:キリスト教思想を学ぶ意義
第1講:聖書の世界(1)─創造と契約─
第2講:聖書の世界(2)─罪と悪─
第3講:聖書の世界(3)─救済と終末─
第4講:キリスト教と社会(1)─男と女─
第5講:キリスト教と社会(2)─家族─
第6講:キリスト教と社会(3)─市民社会─
第7講:キリスト教と社会(4)─民族─
第8講:キリスト教と社会(5)─グローバル化・多元化─
第9講:キリスト教と社会(6)─近代/ポスト近代とキリスト教─
第10講:キリスト教と現代の倫理的課題(1)─生命─
第11講:キリスト教と現代の倫理的課題(2)─環境─
第12講:キリスト教と現代の倫理的課題(3)─情報─
第13講:キリスト教と現代の倫理的課題(4)─戦争・平和─
第14講:宗教と倫理、講義のまとめ
試験
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