キリスト教学を目指す方々へ

 この頁は、主に京都大学外からキリスト教学専修(京都大学大学院文学研究科)への進学を目指す方々への情報提供を目的とする──もちろん、京都大学内部進学希望者や海外からの留学希望者(日本語サイトが読める方)にも有益とは思われるが──。 
 海外からの留学希望者は、次のページを参照のこと。その上で、キリスト教学専修(京都大学大学院文学研究科)への進学を目指す方々は、芦名定道教授へメールで問い合わせいただきたい。

  ・To Foreign Applying for Admission (Graduate School of Letters)
  ・To Foreign Applying for Admission to Department of Christian Studies


<本頁の内容>
 (1)キリスト教学専修とは
 (2)研究と教育の基本方針
 (3)キリスト教学をめざす方々への要望
 (4)大学院試験について
 (5)補足説明








(1)キリスト教学専修とは──特色・研究分野・スタッフ・授業──

 キリスト教学専修は、特定の信仰や教義に基づく神学部とは異なり、キリスト教を純粋に学問的な見地から研究することを目的として、大正11年(1922年)に創設された。この点において、本専修はキリスト教思想を研究対象とする諸大学の関連講座の中でも特徴的な位置を占めている。研究と教育はキリスト教の歴史と思想の全分野にわたって行われている。キリスト教学については、まず第一に、キリスト教を様々な方法とテーマ設定に学的研究を行う諸学問の総体をイメージいただきたい。研究は、古代から現代、世界の諸地域(西欧・中欧・東欧から、アメリカ、アジア、アフリカなど)、思想や歴史、芸術や政治など、広範な領域に及び、キリスト教という対象を中心に据えるならば、原理的にはいわば無限の研究形態が可能である。

 こうした多様な研究領域の中でも、キリスト教学専修では伝統的に次の分野に力点が置かれている。
  1 旧約・新約学
  2 キリスト教思想史、特に古代教父、宗教改革、近代的キリスト教思想
  3 キリスト教思想の体系的宗教哲学的研究

 しかし、現在、キリスト教学専修に所属する教員は、芦名定道教授一名であり、指導可能な研究分野はその点から自ずと制約されざるを得ない。芦名教授は、近代のキリスト教思想(イギリスの理神論や自然神学、シュライアマハー、トレルチなど)や、現代のキリスト教思想(ティリッヒ、パネンベルク、モルトマンなどの思想。エコロジー神学、宗教の神学、宗教的寛容論、キリスト教政治思想)、あるいはアジアと日本のキリスト教思想を中心に研究を進めている──詳細は、芦名教授の個人Webを参照のこと──。

 授業は、本専修スタッフによる講義と演習のほか、学外からの非常勤講師によって──具体的には、キリスト教学研究室の関連ページを参照──、主要な研究分野を可能な限りカバーするように行われ、さらに文学研究科の他専修の授業も含めることによって、キリスト教思想についての十分な学習が可能になるように配慮されている。 

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(2)研究と教育の基本方針

 キリスト教学は、これまでのキリスト教思想研究の伝統を発展させつつ、関係諸学科との融合と調和をはかりながら、高度な教育研究を推進し、その成果を通じてキリスト教界はもちろん、現代世界全体への貢献を目的としている。

 一、キリスト教学は、キリスト教とその思想に関して、これまで神学、宗教哲学、宗教学の諸分野で蓄積された
   学的遺産を統合することによって、キリスト教を研究対象とする新たな学問研究の構築をめざし、キリスト教
   思想や言語文化、歴史、行動、さらにはキリスト教文化全体に関わる学術の理論および応用を教授研究
   する。
 一、キリスト教学は、キリスト教文化の継承と発展に寄与し、真に新しいキリスト教思想を創造しうる卓越した学
    識と応用能力を有する、学術研究者および高度専門職業人を育成する。
 一、キリスト教学は、関連諸学科との連携や研究教育における国際交流の強化を通じて、教育研究の成果を社
    会にひろく還元する。
 一、キリスト教学は、人権や環境に配慮した研究教育を行うとともに、社会的な説明責任に応える。

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(3)キリスト教学をめざす方々への要望

 キリスト教専修では、キリスト教を対象とした高度な学問的な研究を行うことを目指しており、大学院生の多くは、それぞれの研究テーマに関して修士論文そして博士論文を執筆し、研究・教育職に就くことを目標としている──もちろん、修士課程修了後にキリスト教学専修で身に付けたキリスト教思想に関する専門的な学識と能力を生かすことによって、研究・教育職以外の進路へと進むことも可能である──。しかし、そのためには、進学を希望する方々に多くの事柄が要求されることになる。とくに、キリスト教学の大学院(修士課程への入学、博士後期課程への編入学)を検討する場合、次の点に留意いただきたい。

 1 語学運用能力
 キリスト教を学問的に研究する場合、まず重要になるのは、語学運用能力である。たとえば、キリスト教思想研究は、原典に即した文献学的あるいは歴史学的研究を基礎としており、テキストの厳密な読解に基づく理解力と分析能力が不可欠である。したがって、キリスト教学大学院志望者には、原典研究を行うに必要なギリシャ語、ラテン語、ヘブライ語などの古典語の習得──とくに聖書学や古代教父、宗教改革などを研究する場合は必修──と、近代語(英語、ドイツ語、フランス語など)についての習熟が期待される。大学院入試おいても、とくにこの点が重視される(もちろん、大学院入学段階で、これらの古典語と近代語すべての習得を要求しているわけではない。研究テーマによって様々なケースがあり得る)。
 また、キリスト教学専修では、アメリカやドイツあるいは韓国や中国の研究者との学術交流を行うなど、キリスト教学研究を広い国際的視野のもとで進めている。大学院生にも、国際的な場での研究交流に積極的に参加することが求められ、そこでは、テキスト読解力にとどまらない、広範な語学運用能力が期待されることは言うまでもない。

 2 広範な基礎知識
 また、キリスト教の歴史や思想と深い関わりをもつ思想史(教会史や教理史の他に、哲学史や宗教史なども含む)などについての知識も大切である。高度な専門研究を可能にするのは──とくに博士後期課程所属の学生には複数の専門領域について研究が求められる──、狭い研究領域についての深い知識だけではなく、キリスト教全般にわたる広範な基礎知識なのである。こうした基礎知識は大学院における授業や研究会を通しても修得可能ではあるが、大学院入学以前に一定程度の基礎知識を身につけていることが望ましい。
 たとえば、ティリッヒ『キリスト教思想史T、U』(『ティリッヒ著作集』別巻二、三)白水社、は一つの目安と言える。

 3 明確な問題意識、そして意欲と持続力
 以上述べた語学運用能力や広範な基礎知識は、そのいずれに関しても、習得は容易なことではない。この困難な作業に取り組むのに必要となるのは、自分が大学院で目指そうとしている研究テーマについての明確な問題意識である。もちろん、大学院在学中に研究テーマを変更することはあり得ることではあるが、問題意識が漠然としている場合、修士論文はもちろん、博士論文の完成はきわめて困難であろう。そして、何よりも、志望者には、キリスト教を学問的に研究したいという意欲と情熱、そして基礎的な語学や知識の学習に要する持続力が望まれる。

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(4)大学院試験について
 文学研究科キリスト教学専修への入学は、学部を卒業後に修士課程へ入学するコースと、他大学院や文学研究科他専修(修士課程修了後)から博士後期課程に編入するコースの二つが考えられるが、本専修では基本的には修士課程と博士後期課程の5年間の一貫教育が行われており、博士後期課程への編入学は志望者の特殊事情に応じたやや特例的なものとお考えいただきたい。

試験内容
・修士課程:一次試験(第一外国語と専門試験)、
        二次試験(一次試験合格者に対して、第二外国語と口頭試問)。
        外国からの留学生は、第一外国語として日本語を選択。

・博士後期課程編入:一次試験(第一外国語と専門試験)、
        二次試験(一次試験合格者に対して、第二外国語と口頭試問)。

入試の時期と要綱
 大学院の入学試験は毎年2月半ばに、年1回行われる。入試要項などの必要情報は、文学部のホームページより入手可能である。

過去問
 入試問題の過去問は、文学部教務掛の窓口で閲覧・コピーが可能である。キリスト教学修士課程の一次試験・専門試験については、今後のWeb上での公開を検討中。

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(5)補足説明
1 外部からの志望者は、キリスト教学研究室のWebなどでキリスト教学専修についての情報を得るだけでなく、本専修教員(芦名教授)とコンタクトをとり、アドバイスを受けることが望ましい。

2 聴講生
京都大学文学研究科・文学部には、学部聴講生と大学院聴講生(修士号を持つ者のみ)という制度があり、大学院入学に要求される(3)の条件を満たすために、聴講生として受験準備を行う方々も少なくない。また、海外からの留学生の場合は、年度途中からの研究生としての受け入れも可能である。

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