研究紹介1(研究計画)       2003年度版
                        2003/2/7にアップロード
                            2003/2/8に修正                                 
  2001年に作成した研究領域の紹介内容は、基本的に現在の研究にも妥当するものであるが、2003年度の研究は、そのかなりの部分が所属する学会や研究会との関連において進められることになる。こうした点に留意しつつ、研究計画の概要をまとめてみたい。なお、このページは、とかく混乱しがちなわたくし自身の研究を交通整理するための覚書きであることをお断りしておきたい。
 <内容>
  1.宗教と科学
  2.日本・アジアのキリスト教と宗教的多元性
  3.近現代のキリスト教思想
  4.その他

1.宗教と科学
 (1)京都大学における特殊講義および演習
 この講義と演習を準備することが、同時に「宗教と科学」研究の主要部分となる。
 ・特殊講義:キリスト教思想における自然の諸問題
     第一章 自然の宗教哲学の構想とティリッヒの次元論
                          (2002年度完了)
     第二章 宗教言語と科学言語   (2002年度完了)
     第三章 形而上学再考   (2003年度予定)
     第四章 精神と宗教     (2003年度予定)
 ・演習:宗教と科学の新たな関係構築に向けて−A.E.マグラス−
    Alister E. McGrath,
       The Foundations of Dialogue in Science & Religion,
                             Blackwell 1998
 (2)現代キリスト教思想研究会(「宗教と科学」研究会)
 2003年度には、研究会メンバーによって教科書(『科学時代に生きる宗教(仮題)』)を共同執筆することが計画されている。2004年度から教科書として使用するために、作業が進められつつあるが、わたくしの担当は、第一部(科学としての宗教学)の前半(現代宗教学のアウトライン、400字詰め原稿用紙80枚相当)であり、4月から6月にかけて徐々に完成する予定である。
 (3)「近代科学の成立とキリスト教自然神学の生命論−エコロジーの視点から−」(科学研究費補助金・基盤研究(C)(2))
 科研費によるこの研究も最後の年度を迎えるので、報告書の作成に向けて、研究の締めくくりを行う必要がある。おそらく、イギリス自然神学の伝統の上でダーウィンの進化論を位置づける作業(ペイリーがポイント)と、現代のエコロジー神学が、報告書の二つの柱となるであろう。
 (4)宗教倫理学会の研究プロジェクト
 3月より8月まで、月一回の研究会が予定されているが、2003年度は生命倫理が焦点になる予定である。

2.日本・アジアのキリスト教と宗教的多元性
 (1)京都大学における演習(日本・アジアのキリスト教−海老名弾正−)
 海老名弾正・植村正久『基督論集』(1902)、海老名弾正『基督教本義』(1903)を読む。
 (2)COE研究プロジェクト「多元世界における寛容性についての研究」
 このプロジェクトは、隔月の全体研究会と、個人および共同研究とが二つの軸になって進められる。まず、個人および共同研究としては、キリスト教思想における寛容論の歴史的展開と宗教間対話や死者儀礼をめぐる日韓の比較研究(実地調査を含む)が予定されている。6月頃に研究会の報告書の作成が、また秋(10月あるいは11月)には、シンポジウム(「日韓・宗教間対話・平和思想」)の開催が予定されており、明確な研究成果の発表に向けた研究の実施が要求される。またプロジェクト全体については、現時点では明確化しきれていない点もあるが、宗教的多元性・宗教的寛容についてのキリスト教思想史的な研究、社会的な諸フィールドにおける「寛容」に関連する事態の形成過程をめぐる社会学的研究、そしてこの二つの中間に位置し両者を媒介する、アジア・アフリカのキリスト教との関わりにおける「寛容」についての研究、という三つの問題群を統合することが大きなポイントとなるであろう。
 (3)現代キリスト教思想研究会(「アジアと宗教的多元性」研究会)
 月一回の研究会と年度末の研究雑誌の発行が主な活動であるが、各参加メンバーの研究テーマに即して言えば、日本のキリスト教思想史(キリスト教思想と哲学、日韓キリスト教の関係史などを含む)を様々な角度から取り扱うことになるものと思われる。この研究会は、上のCOE研究プロジェクトと密接な関わりにおいて進められる。
 (4)研究発表・研究論文
 ・2002年度に大正大学で行われた日本宗教学会(第61回学術大会)の特別 部会 「21世紀における諸宗教の共存とアイデンティティの問題」における研究成果を論文集として公にする企画が大正大学で進められている。わたくしも、パネラーの一人として行った、「アジアの宗教的多元性とキリスト教思想の再構築」の発表を論文化する予定である(これは夏の仕事の一つになる)。
 ・亜細亜大学のアジア研究所での研究発表
「アジア・宗教間対話・平和思想」といった観点からの研究発表を予定している。

3.近現代キリスト教思想研究
 (1)ティリッヒ研究
 ・現代キリスト教思想研究会(「ティリッヒ」研究会)として
 月一回の研究発表と、年2回の雑誌『ティリッヒ研究』の発行を2003年度も継続して行いたい。その他に、研究会としての共同翻訳を進めてきた、ティリッヒ『平和の神学』の最後のつめ(校正作業)にさしかかっている。こうした関連で、いくつかの論文を書き上げる予定である。
 ・2003年度の日本宗教学会は9月に天理大学で行われることになっているが、この際に、個人としてティリッヒに関連した研究発表を行うと共に、「ティリッヒ研究会」全体による企画を何らかの形で実施したい。学術大会の中で研究会としての企画が可能なのか、あるいは同時期に学会とは別に研究会を行うかについては、今後検討してみたい。
 (2)その他
 モルトマン、パネンベルク、マクフェイグ、リクールなど、取り組むべき課題は少なくない。

4.その他
 (1)『現代を生きるキリスト教』(教文館)の改訂作業(おそらくは、夏の作業)
 (2)『日本の神学』の書評(5月連休明け締め切り)

                      

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