1.「宗教と科学」関連文献(新着)

107.2009年度から京都大学の演習で読み始め、2010年度前期に完了した。ヒックの
   次の文献の関連で、2010年4月以降購入の文献の書名のみを記載します。

  John Hick, The New Frontier of Religion and Science. Religious
    Experience, Neuroscience and the Transcendent
, Palgrave, 2006.

  James H. Austin, M.D.
     Zen and the Brain. Toward an Understanding of Meditation and
       Concsiousness
, The MIT Press, 1999.
     Selfless Insight. Zen and the Meditative Transformations of
       Consciousness
, The MIT Press, 2009.   

   Steven Rose, 
     Not in our Genes. Biology, Ideology and Human Nature, (with R.C.
        Lewontin, and Leon J. Kamin), Pelican Books, 1984.
     The Future of the Brain. The Promise and Perils of Tomorrow's
       Neuroscience
, Oxford University Press, 2005.
     The 21st-Century Brain. Explaining, Mending and Menipulating
       the Mind
, Vintage Books, 2006.

106.落合仁司
   『数理神学を学ぶ人のために』世界思想社 2009年。

 宗教と科学の関係を論じる上で、数学は重要な位置を占めている。それは、古代
 から近代、そして現代に至る思想史の無数の事例が示す通りである。本書著者は、
 かねてより、「数理神学」という研究領域の確立のために精力的に研究を行ってき
 たが、今回は、『<神>の証明──なぜ宗教は成り立つのか』(講談社現代新書、
 1998年)あるいは『ギリシャ正教 無限の神』(講談社、2001年)に続く、研究成果
 を、数理神学への入門・導入の意味を込めて出版した。神の愛、神の受難にまで
 踏み込んだ議論が展開されるなど、注目すべき論点が展開されており、宗教と科学
 の関係について理論的な関心のある人に、一読をお勧めしたい。

105.ハロルドG.コーニック
   『スピリチュアリティは健康をもたらすか
    ──科学的研究にもとづく医療と宗教の関係』(杉岡良彦訳)医学書院、
    2009年。

 宗教と科学との関わりは多面的なテーマを包括する問題群をなしているが、本書
 が論じる、「医学・医療と宗教・スピリチュアリティ」は、日本では十分な議論がまだ
 なされていないものの、重要なテーマである。しかも、この関係を、医学・科学の具
 体的な問題に即して、明解に論じていることが、本書の特徴の一つであるが、こ
 の書の翻訳を通して、今後日本の医学と宗教学の積極的な交流の進展を期待し
 たい。

104.金 承哲
   『神と遺伝子 遺伝子工学時代におけるキリスト教』教文館 2009年。
  スランシス・コリンズ
   『ゲノムと聖書 科学者、<神>について考える』NTT出版、2009年。 .

 遺伝子工学の進展は、キリスト教思想(生命論・倫理思想)においても、すでに多
 くの議論がなされてきている。これら二つの著書は、この問題について正面から
 取り組んでおり、この問題ついて関心のある読者には注目すべき文献と言える。
 とくに、金承哲の著書ではキリスト教神学における遺伝子工学をめぐる諸立場が
 的確にまとめられており、キリスト教神学の問題状況を概観することができる。ま
 た、コリンズの著書は、科学者の立場から、宇宙論や進化論を含む広範な議論が
 なされており、有益である。二つの著書によって、どドーキンズ流の対立図式がキ
 リスト教思想においてはもちろん、科学者においても決して主流でないことを知る
 ことができる。

103.フランシスコ・J・アヤラ
   『キリスト教は進化論と共存できるか? ダーウィンと知的設計』藤井清久訳
   教文館 2008年。

 創造論者と自然主義的無神論(ドーキンス)とは、正反対の主張をなしつつも、原
 理主義的独断論であるという点で、同じ論理構造を有している。このうち、後者に
 反論したのが、93で紹介のマクグラスの著書であるに対して、このアヤラの著書は
 前者のキリスト教原理主義的な創造論者への反論である。本書については、『週
 刊読書人』(2008.7.11)に掲載の書評をご覧いただきたい。

102.Alister McGrath
   The Open Secret. A New Vision for Natural Theology
   Blackwell 2008. 

 「宗教と科学」関係論において、世界的議論をリードするマクグラスの最新書。自
 然神学の問題を正面から取り上げている。この邦訳に向けて、この10月(2008年)
 から、研究会をスタートさせる予定である。 

101.フランク・E.マニュエル 『ニュートンの宗教』 竹本 健訳、法政大学出版会 2007年。

 ニュートンの宗教論についての先駆的研究である、マニュエルの研究所の邦訳。
 わたくしも、『自然神学再考』(晃洋書房 2007年)では、かなり参照した。


100.Richard Daekins, The GOD Delusion, Houghton Mifflin Company 2006.
   リチャード・ドーキンス 『神は妄想である』垂水雄二訳、早川書房 2007年。 

 93で紹介したマクグラスが徹底的に批判したドーキンスの問題の書とその邦訳。

99. Eugene d'Aquili and Andrew B. Newberg, The Mystical Mind. Probing the Biology
     of Religious Experience
, Fortress Press 1999.
   Gregory R. Peterson, Minding God. Theology and the Cognitive Science,
      Fortress Press 2003.
   Malcolm Jeeves (ed.), From Cells to Souls --- and Beyond. Changing Portraits
      Human Nature
, Eerdmans 2004. 

 「脳神経科学と宗教」というテーマに関連する、研究書。このテーマについて、現在
 多くの研究がなされつつある。注目すべき動向である。

98.Anthony C. Thiselton, Interpreting God and the Postmodern Self.
    On Meaning, Manipulation and Promise
, Eerdmans 1995.
  Kenneth J. Gergen, The Saturated Self. Dilemmas of Identity in
    Contemporary Life
, Basic Books 1991. 

 やや古い文献(?)から、自己論を二冊。「宗教と科学」関係論を「脳・こころ」という
 問題連関で考える際に、ポイントは人格概念となる。この連関で、自己・人格を考え
 際に参照した。

97.Arther Peacocke (ed. by Philip Clayton)
  All Thay Is. A Naturalistic Faith for the Twenty-First Century.
  Fortress Press 2007. 

 「宗教と科学」関係論を代表する研究者の一人であった、ピーコックの論文(第一部)
 と、それに対する研究者(へフナー、ピータース、マーフィ、ラッセル、ウォード、クレイト
 ンら)の応答(第二部)からなる、追悼論文集。

96.村上和雄・棚次正和 『人は何のために「祈る」のか 生命の遺伝子はその声を聴いている』
     祥伝社 2008.
95.中村生雄・安田睦彦編 『自然葬と世界の宗教』凱風社 2008.
94.中山剛史・坂上雅道編 『脳科学と哲学の出会い 脳・生命・心』玉川大学出版部  2008.

 以上の三冊の本をまとめて紹介します。このサイトで取り上げている「宗教と科学」の
 関係をめぐる議論は、現在広範な広がりを示しています。とくに、最近の問題状況で
 注目すべきは、宗教と科学の関係論の問題の焦点が、生命・進化・遺伝子から脳・心
 までを包括する領域へと展開しつつある点であり、それに伴って、問われる宗教もキリ
 スト教にとどまらずより広範な宗教伝統が科学との関わりで問題化していることです。
 とくに、東アジアの伝統を基盤とした宗教の有する生命や心の理解と科学あるいは科
 学技術との関わりは、世界的に見て、多くの研究者の関心となっているように思われ
 ます。

93. Alister McGrath and Joanna Collicutt McGrath
  The Dawkins Delusion?
    Atheist Fundamentalism and The Denial of the Divine
.
  IVP Books,  2007.

 本書は、現代キリスト教思想でもっとも生産的に議論を展開し、「宗教と科学」をめぐる
 研究をリードする神学者の一人でもある、マクグラスの最近の出版されたばかりの書
 物である。本書は、マクグラス夫妻の共著であるという点でも、マクグラスファンとして
 見逃せないが、おそらく内容において今後多くの議論を巻き起こすことになるものと思
 われる。というのも、本書は日本でも利己的遺伝子の議論で有名なドーキンスの著書
 『神は妄想である──宗教との決別』(早川書房)への正面からの反論を意図してい
 るからである。こうした論争は、欧米(とくに英語圏)での、宗教と科学との関係論の特
 徴(二つの原理主義)を理解する上でも重要であり、マクグラスファンでなくとも、一読
 に値すると思われる(しかも、本書は注などを省けば、100ページに満たないコンパクト
 さである)。

92.ポール・スワンソン監修
  『科学 こころ 宗教』
  南山宗教文化研究所  2007年

 本書は、GPSS(Global Perspective on Science and Spirituality、John Templeton
 財団主催)の国際プロジェクトの一環として、2004年から南山大学で行われてきた
 「科学・こころ・宗教」プロジェクトの第一段階を総括するものとして実施された、第
 13回南山シンポジウム(2006/5/12-14)の報告書である。シンポジウムは3日間
 にわたり集中的に行われたが、本書にあるように、6つのセッションによって進めら
 れた。それぞれのセッションは、発表者の報告とそれに対するコメンテーターのコメ
 ント、そして参加者による討論から構成されているが、第1セッションは、プロジェク
 ト・リーダーであるスワンソン南山宗教文化研究所長によるプロジェクトとシンポジウ
 ムの概要と進め方の説明を中心としたものであり、また三日目午前中の第6セッシ
 ョンでは、シンポジウムのまとめと今後のプロジェクトの展望が討論された。その間
 の、第2セッションは「日本における「科学と宗教」問題」(横山輝雄)という研究発表
 と討論、第3セッションは「医療技術における多様性と“やさしさ”」(富田直秀)、「人
 間と機械の新しい関係──心を持った機械は作れるか?」(橋本周司)をめぐる討
 論、第4セッションは「心、目的指向的行動、前頭連合野」(田中啓治)、「シミュレー
 ション文化」(佐藤哲也)をめぐる討論、第5セッションは「「科学と宗教」・「科学とここ
 ろ」──キリスト教の立場から」(山本祐靖)、「心、科学、宗教の対話」(三田一郎)
 をめぐる討論が、それぞれ活溌に行われた。このシンポジウムは、自然科学者がそ
 れぞれの専門分野から発表を行い、思想研究者がコメントを行うという形態で、しか
 も、相互に議論がかみ合うように配慮してセッションが進められたため、論点が明確
 にされた上でのかなり踏み込んだ討論を行うことができた。また、従来の「キリスト教
 と自然科学」という枠組みを踏む超える問題設定として、「こころ」という領域を考えた
 ことは、今後のプロジェクトの展開にとって、重要な方向付けとなったと言えよう。

91.池内 了
  『物理学と神』
  集英社新書 2002年

  本書の著者は、理論物理学者(宇宙論)として、また現代の科学のあり方を
  めぐる提言などで著名で人物であるが、著者は、本書において、神に仮託す
  ることによって物理学について説明しようと試みている(「あとがき」)。著者も
  指摘するように、近代科学は「神」との関わりの中で展開してきたという経緯
  があることを考えれば、こうした試みには十分な根拠があると言えよう。ポイン
  トは、「科学者は、「なぜ」の問いに答えられないのだから、神と完全に手を切
  るわけにもいなかい。そこで神を巧妙に利用する手を編み出すことになった」
  ということであり、また、そのように立ち回りつつも、「お釈迦様の掌の上をうろ
  うろしている程度の私たちであること心に留めておきたい」という結論である。
  現代科学と神の問題に関心のある読者にとっては、興味深い文献である。

90.Erman McMullin (ed.)
  The Church and Galileo
  University of Notre Dame Press  2005

  本書は、宗教と科学の関係史において、これまで繰り返し論じられてきた「ガ
  リレオ問題」に関する最新の論文集である。ガリレオ問題をめぐっては、以前
  の科学と宗教の対立の代表的事例という単純な見方は、すでに十分な論駁
  を受けているものと思われるが、本書は、問題の背景や経緯、ガリレオ自身
  の神学から、ローマ・カトリック教会におけるガリレオ復権まで、一連の諸問題
  を包括的に扱っており、改めて、ガリレオ問題は何であったのかについて、考
  えるのに参考になると思われる。

89.David H. Smith and Cynthia B.Cohen (ed.)
  A Christian Response to the New Genetics
  Rowman & Littlefield  2003
88.Verna V. Gehring (ed.)
  Genetic Prospects. Essays on Biothechnology, Ethics, and Public Policy
  Rowman & Littlefield  2003
87.Kristin Shrader-Frechette
  Environmental Justice. Creating Equality, Reclaiming Democracy
  Oxford University Press  2002

  87-89としてここに掲載した文献は、それぞれ生命倫理と環境倫理に関係し
  た諸問題を扱ったものであるが、こうして一括して紹介を行った理由は、これ
  らが共通して、社会的パースペクティブの中で、生命、環境の問題を論じて
  いるという点にある。日本で、とくに宗教思想の文脈で、生命や環境が論じら
  れる場合、公共政策や平等・正義といった問題は十分に深められた議論
  がなされないまま、伝統的な死生観や科学技術に関する一般論といった事柄
  に考察が向けられてきたように思われる。おそらく、こうしたレベルで議論を行
  うことはもはや不十分であり、宗教的観点からの生命倫理や環境倫理には対
  しては、いっそうのレベルアップが要求されているのではないだろうか。これら
  の文献は改めて、問題の所在を再考する上で、参考になるものと思われる。

86. J.C.スマッツ
  『ホーリズムと進化』
  玉川大学出版部  2005年

  本書は、プリゴジンの非平衡熱力学やシステム理論などを基盤として、現在
  も、物質、生命、心、精神・人格についての新しい見方・像を提起している
  「ホーリズム」という視点から、進化論の問い直しを提起した、スマッツの著書
  の翻訳書である。1926年という出版年からもわかるように、本書は「ホーリズ
  ム」についての先駆的な書物であり、その点においても、大いに評価される
  べきものと思われる。スマッツが提起した問題は、デイヴィスが『神と新しい
  物理学』でも論じているように、神の問題を現代科学との関わりで理論的に
  考える上で重要な意味を持っている。

85.J.E.Force and S. Hutton (eds.)
  Newton and Newtonianism. New Studies.
  Kluwer Academic Publishers  2004

  本書は、これまでもニュートンに関する優れた研究論集を収録してきた叢書
  (カルヴァー社)に加えられた、新しいニュートン研究論集である。ニュートン
  における神学や錬金術、18世紀のニュートン主義をめぐる諸問題、ニュート
  ン主義における女性と科学などをめぐる11の論考が収められているが、ニュ
  ートンの宗教的錬金術的な草稿の出版計画をめぐる論考(第二論文、
  Richard H. Popkin)は興味深い。この点については、Web上の「ニュートン・
  プロジェクト」(http://www.newtonproject.ic.ac.uk/)も参照いただきたい。

84. B.J.T.Dobbs
  The Janus Faces of Genius. The Role of Alchemy in Newton's thought.
  Cambridge University Press  2002(1991)

  本書は、ニュートンにおける錬金術の意義を指摘した現代のニュートン研究
  におけるいわば古典的な研究書である。今回、3年前に出たペーパーバック
  版を蔵書に加えることになったが(これまでは、以前に取ったコピーを利用し
  ていた)、ニュートンにおける神論が、プリンキピアの前後にわたって詳細に
  論じられており、ニュートンの宗教思想・神学思想に関心をある者にとって
  重要な文献であることが再認識させられた。

83. Margaret C. Jacob and Larry Stewart
  Practical Matter.
  Newton's Science in the Service of Industry and Empaire 1687-1851

   Harvard University Press 2004

  本書は、ニュートンあるいニュートン主義の意義を、17世紀から18世紀の
  近代イギリス社会の形成過程の中で論じ、とくに、そのキリスト教思想(自
  然神学、理神論など)との緊密な連関を解明してきた、ジェイコブの最近の
  共著である。今回は、ニュートン革命が近代の産業社会において決定的な
  意味を有していたことを扱っているが、近代科学が何であったのかを論じる
  上で、重要な一つの視点を言えよう。

82.小松美彦・土井健司編
  『宗教と生命倫理』
  ナカニシヤ書店 2005年

  これまで、宗教思想の分野でも、生命倫理に関わる諸問題については、多
  くの取り組みがなされてきた。本書も、こうした活発な論争の中に位置する
  ものであるが、とくに、宗教という視点から原理的な議論・問題提起を試み
  ている点で、注目すべき取り組みといえよう。内容的には、仏教、キリスト教、
  儒教、ヒンドゥー教、イスラーム、神道などの各宗教の生命観と死生観をバラ
  ンスよく、扱っており、「宗教と生命倫理」についての基本的な事柄に関心の
  ある読者には一読をお勧めしたい。

81. Heather Eaton
  Introducing Ecofeminist Theologians.
   T & T Clark 2005

  エコロジーの神学、あるいはキリスト教的環境論は、「宗教と科学」関係論
  の中心的柱の一つであり、現在のキリスト教思想においてもっともホットな
  テーマである。このテーマを論じるには、様々な立場、視点が可能であるが、
  その中でも注目すべきものの一つは、エコロジーとフェミニズムとを結びつけ、
  エコ・フェミニズムという問題連関で(人間中心主義と男性中心主義が同じ
  文脈に属しているということ)、環境論を展開するものであり、本書は、こうし
  たキリスト教思想の動向の導入的な解説を目指したものと言える。この問
  題をめぐり論戦を戦わせている代表的な神学者の主張を概観したい人には、
  便利な文献といえよう。

80. Alister McGrath
  Dawkins' God. Genes, Menes, and the Meaning of Life.
  Blackwell 2005

  本書は、この文献紹介でも繰り返し取り上げてきた、マクグラスの最新書で
  ある。マクグラスは、「宗教と科学」の関係をめぐる問題に多面的に取り組ん
  でいる、現在もっとも多産なキリスト教思想研究者であるが、本書では、生
  命という自然神学の古典的かつ中心的なテーマが本格的に論じられている。
  利己的遺伝子や文化ダーヴィニズムといった諸問題を扱いながら、「宗教と
  科学」の生産的な関わりを提言している点で興味深い(とくに、最終章「科学
  と宗教:対話あるいは知的譲歩?」)。
  
79.松山壽一
  『ニュートンからカントへ 力と物質の概念史』
  晃洋書房 2005年
  
  本書は、この新着書紹介でも何度か取り上げたことのある松山氏の新刊書
  である。イギリスにおけるニュートン受容、ニュートン主義形成を論じた第一
  章や自然神学にも言及される第二章など、ニュートンからカントへの自然哲
  学の流れについて、重要な議論がなされている。

78.金森修、中島秀人編
  『科学論の現在』
  勁草書房 2002年
 
  本書は、最近の科学論(科学哲学・科学史を含みつつも、さらに広い問題連関
  を扱う)を多角的に論じた論文集である。1970年代に登場した「科学知識の社
  会学(SSK)」の行き過ぎた相対主義から、新しい科学理解としての「科学技術
  社会論(STS)」という議論の展開は興味深い。

77.武田龍精
  『宗教と科学のあいだ』
  法蔵館 2003年

  本書は、「宗教と科学」の関係を主題的に取り扱った書物である。その特徴は、
  このテーマに関しては、キリスト教的背景からの議論が従来多く見られたのに
  対して、本書が仏教(浄土教)の立場から議論を行っている点であり、ホワイト
  ヘッドや田辺哲学にもかなりの頁がさかれている。また、こうした「宗教と科学」
  の関係が、宗教的多元性におけるキリスト教と仏教との対話という問題に結び
  つけられている点も興味深い。

76.細川亮一
  『アインシュタイン 物理学と形而上学』
  創文社 2004年

  本書は、アインシュタイン物理学の哲学的内実(科学哲学的、科学史的)とその
  形而上学的意義をテーマ化したものである。アインシュタインは物理学の著名な
  専門研究者(しかも、20世紀を代表する)であり、その観点からの研究は当然
  少なからぬ数にのぼるが、本書のようにアインシュタインの形而上学を本格的に
  取り上げた研究は、少なくとも日本では珍しいと言えよう。しかし、「宗教と科学」
  の関係論に対するアインシュタインの思想的意義を考えるとき、本書ような形而
  上学の観点からの議論はきわめて貴重であり、今後様々な研究分野で参照され
  ることになるものと思われる。

75. Philip Clayton and Arthur Peacocke (eds.)
  In Whom We Live and Move and Have Our Being.
     Panentheistic Reflections on God's Presence
     in a Scientific World.

  Eerdmans 2004

  本書は、クレイトンとピーコックという、「宗教と科学」の関わりを積極的に論究して
  いる二人の代表的人物の編集による論文集であり、論文寄稿者も多彩である。特
  徴は、表題にある「万有在神論」を主題化している点に認められるが(第一部)、現
  代科学の観点(第二部)とキリスト教諸伝統の観点(第三部)とが組み合わされ、魅
  力的な論文集となっている。

74. Malcolm Jeeves (ed.)
  From Cells to Souls --- and Beyond.
    Changing Portraits of Human Nature

  Eerdmans 2004

  現代の生命・認知・脳をめぐる科学の進展は、人間とはいかなる存在者かという問
  いにも密接に関係しており、その研究成果についての一定の理解は、人間を問題
  にする研究者・思想家にとってますます重要なものとなりつつある。本書は、脳・心・
  人格という人間をめぐる基本問題を哲学や神学の問題も視野に入れつつ多角的に
  論じた論文集であり、このテーマに関心のある方々には一読に値するように思われ
  る。

73. Sergio De Risio, Franco F. Orsucci (eds.)
  Bioethics in Complexity. Foundations and Evolutions
  Imperial College Press  2004

  本書は、アーペルの論文(ポスト・カント的な思想状況で倫理言述の基盤を問題にし
  た)が収録されていることからもわかるように、生命倫理の問題を哲学思想の文脈
  で論じた論文集である。編集者によると、生命倫理を包括的に論じる枠組みとして、
  自然哲学を再構築するという意図で編集されており、興味深い。

72. Eugenie C. Scott
  Evolution & Creatinism. An Introduction
  Greenwood Press  2004

  本書は、現代の宗教と科学の対立関係の事例としてしばしば論じられる、「進化論 
  対 創造論主義」を論じたものであるが、これは歴史的事例として興味深いだけでな
  く、改めて、宗教と科学の関係を問い直す上で、適切な手がかりとなる問題である。
  「An Introduction」とあるように、図表を交えながら問題を整理して論じており、この
  問題への入門書としても評価できるであろう。
  
71. Alister E. MaGrath
  The Science of God
  T & T Clark  2004

  本書は、現在、「宗教と科学」の関係をめぐる諸問題について、もっとも積極的に研究
  を進めているマクグラスの最新書である。内容的は、すでにこのHPでも紹介の既刊
  の三部作(12, 39, 51)の縮刷版であり、マクグラスの「科学的神学」構造の全貌を知
  るに、便利は本と言える。

70.標 宣男
  『科学史の中のキリスト教 自然の法からカオス理論まで』
  教文館 2004年

 本書は、古代ギリシャから始まり、西欧中世から近代、そして現代に至る科学史(主に
 物理学や天文学)において、科学とキリスト教との関連を論じたものであり、決して大著
 ではないが、読みやすい好著である。著者は元々自然科学の専門家として出発した方
 であり、科学に関する知識は信頼のおけるものであり、最後の第六章は、現代のカオス
 理論とキリスト教思想との関わりを扱ったものとして興味深い。

69.長尾伸一
  『ニュートン主義とスコットランド啓蒙 不完全な機械の喩』
  名古屋大学出版会 2001年

 本書は、近代科学とキリスト教思想の関わり合いという研究テーマにとって中心的な位
 置を占めるニュートン主義に関する本格的な研究書である。本書では、アダム・スミスを
 生み出しスコットランド啓蒙が表題に掲げられていることからも分かるように、ニュートン
 主義と社会科学の形成過程のとの関わりに論じられており、ニュートン主義の広がりを
 知る上で重要な意味を持っている。

68.Jennifer K. Walter and Eran P. Klein (eds.)
  The Story of Bioethics. From Seminal Works to Contemporary Explorations
  Georgetowm University Press  2003

 本書は生命倫理をテーマとした論文集であるが、第二部には、道徳神学に関わる3つの
 論文が収録されているなど、キリスト教思想との関わりからも興味深い。

67.Frank X. Ryan (ed.)
  Darwinism and Theology in America: 1850-1930, Vol.1-4
  Thoemmes Press  2002

 本書は、アメリカにおける進化論論争に関する基礎的な一次資料を集めたものである。利
 用しやすいように文献の分類がなされており、この研究分野に関する文献として手元にお
 いておきたい基礎文献といえる。

66.Thomas A, Schannon and James J. Walter
  The New Genetic Medicine. Theological and Ethical Reflections
  Rowman & Littlefield Publishers 2003

 本書が扱っている遺伝子医療は、生命倫理の分野でも緊急の取り組みが必要となっている
 領域の一つである。本書では、遺伝子医療の持つ倫理的また神学的問題性を論じたもので
 あり、関心のある方は一読いただきたい。なお、ここでの議論はローマ・カトリックの視点か
 らなされている。 

65.松山壽一、加國尚志編
  『シェリング自然哲学への誘い』晃洋書房 2004年

 本書は、シェング没後150年を記念として日本シェリング協会の会員によって刊行されている
 シェリング論集の中の一冊として企画された。シェリング自然哲学が現代の「宗教と科学」関
 係論にとって重要な意味を持つことは、この文献紹介でも繰り返し強調してきた通りであるが、
 第U部の「シェリング自然哲学のアクチュアリティ」に収録された諸論文はその点をよく示してい
 る。わたくし自身の関心としては、第七章「自己組織化とオートポイエーシス」(河本英夫)と
 第八章「もう一つのエコソフィを求めて」(浅沼光樹)がおもしろい。

64.松山壽一
  『科学・芸術・神話 シェリングの自然哲学と芸術−神話論 研究序説』晃洋書房
    増補改訂 2004年(初版 1994年)

 本書は、シェリング、とくにその自然哲学の研究者である松山氏が1994年に出版した著書に、
 「自然哲学のリアリティ」「ヘルダリンの存在思想と自然思想」を追加して、出版されたものである。
 全体として、シェリングの思想を様々な観点から解明した優れた論考であるが、とくに、第一部
 「自然哲学と自然科学」に収録された諸論文は、宗教と科学の関係を哲学的に、あるいは哲学
 史の文脈において論じる上できわめて示唆的である。「ニュートンとシェリング」と題された第4章
 は、ニュートン研究の観点からも重要である。 

63.Roger S. Gottlieb (ed.)
  Liberating Faith. Religious Voices for Justice, Peace, & Ecological Wisdom.
  Rowan & Littlefield Publishers  2003

 エコロジーあるいは環境論は、科学技術や倫理、そして宗教的伝統といった諸領域に関わる複
 雑な問題群として存在しているが、それが具体的な状況の中で実際的な意味をもつには、さら
 に経済学や政治学、政策決定といった議論までも視野に入れることが要求される。本書は、正義、
 平和といった問題を視野に入れながら、宗教的伝統と政治との関わりを多面的に取り扱った、き
 わめて大部の論文集であり、現代キリスト教思想でエコロジーの諸問題に取り組む上で、示唆的
 である。

62.Susan Brooks Thistlethwaite (ed.)
  Adam, Eve, and the Genome. The Human Genome Project and Theology.
  Fortress  2003

 本書は、現在のキリスト教思想における生命倫理の中心問題の一つである、ゲノム解読をめぐる
 諸問題を扱った論文集である。遺伝学をめぐる思想史的背景と現代の問題状況を論じた第一部、
 宗教的な人間学や病因学の観点から議論を行う第二部、共同体や暴力など社会的諸問題を視
 野に入れた第三部、というように、内容は多岐にわたっている。

61.Lisa H. Sideris
  Environmental Ethics, Ecological Theology and Natural Selection.
  Columbia University Press  2003

 本書では、進化論が環境倫理に対していかなる意義を有するのか、また自然に対するエコ・フェ
 ミニズムの観点からいかなる倫理を構築するのか、といった諸問題と取り組む中で、エコロジーの
 神学(宗教的な環境倫理)の構築が批判的に論じられる。エコロジーの神学を具体的に展開する
 上で、一読すべき文献といえよう。

60.Mathias Trennenert-Hellwig
  Die Urkraft des Kosmos.
    Dimensionen der Liebe im Werk Pierre Teilhards de Chardin.
  Herder  1993

 ティヤール・ド・シャルダンは、宗教と科学の関係をめぐる議論では、すでに古典的な人物の一人
 に数えられる思想家であるが、本書はその思想世界の全貌を論じたものであり、興味深い。 

59.Sigurd Martin Daecke, Juergen Schnakenberg (Hg.)
  Gottesglaube- ein Selektionsvorteil ?
    Religion in der Evolution- Natur- und Geisteswissenschaftler im Gespraech.
   Chr. Kaiser  2000
  
 本論文集は、進化論、生物学といったテーマをめぐり、多面的な学問領域からの問題の展開を試
 たものであり、本文献案内の文献57の著者Ulrich Lueckeも「カトリック神学 自然神学と神認識に
 対する自然科学の寄与」という論文を寄稿している。

58.Helmut Krause
  Theologie, Physik und Philosophie im Weltbild Karl Heims.
  Peter Lang  1995

 20世紀神学において、「宗教と科学との関わり」の議論で重要な位置を占めるカール・ハイムに
 ついての研究書(学位論文)である。

57.Ulrich Lueke
  Evoltionaere Erkenntnistheorie und Theologie.
  S. Hirzel  1990

 学際的な問題意識に立ち、進化の認識論の批判的展開(科学論的)と神学との関わりを論じた
 意欲的な著作である。
 
56.Alan G. Padgett
  Science and the Study of God. A Mutuality Model for Theology and Science.
  Eerdmans  2003

 本書は、神学と自然科学の相互性というモデルによって、自然科学と神論とを積極的に関係づけ
 る試みを行っており、最近の研究の一つの方向性を代表するものである。しかし、本書の特徴は、
 自然科学の問題領域を超えて、科学と神学との関係を、歴史学と史的イエスとの関わりや大学
 (ポストモダンの)における神学の位置づけなどの諸問題をも視野に入れつつ展開している点に
 見ることができる。決して大著ではないが、著者の広範な問題領域に対する関心がよく現れてい
 ると言えよう。

55.Celia Deane-Drummond
  Creation Through Wisdom. Theology & the New Biology
  T & T Clark 2000 

 本書の内容は、一方で創造−知恵−科学、あるいは知恵・キリスト論といった最近のキリスト教
 思想における知恵の問題の展開を扱い、他方でそれをエコロジーなどの現代の生命論との関わ
 りを視野に入れて論じるという、刺激的なものである。キリスト教思想を科学との関わりにおいて
 本格的に論じる試みとして、注目すべき文献と言えよう。

54.Richard England (ed.)
  Design After Darwin, 1860-1900 Vols. 4
  Thoemmes Press   2003

 本書は、ダーウィンの進化論の登場後の19世紀後半に、進化論と自然神学との関わりをめぐって
 展開された議論について、その重要な一次文献を収録した4巻本の論文集であり、このテーマに
 ついての研究にとってきわめて大きな意義を持つものと言える。この論文集によって、ダーウィンの
 進化論がキリスト教思想にとっていかなる意味を有するのかという点について解明が進むことを期
 待したい。

53.David C. Lingberg and Ronald L.Numbers (eds.)
  When Science & Christianity Meet. 
  The University of Chicago Press  2003

 本書は、宗教(キリスト教)と科学との関係史の分野で、これまでも多くの優れた論文集をまとめて
 きた、リンドバーグとナンバーズの共編著である。今回も中世から時代とテーマを追って編集されて
 いるが、特徴としては、精神分析とスコープス裁判とをテーマにした論文が収録されている点が挙げ
 られる。また、ダーウィンの進化論が登場する前史にあたる時期のイギリスにおける科学とキリスト
 教をめぐる諸問題についても充実した内容となっている。

52.Tapio Luoma
  Incarnation and Physics. Natural Science in the Theology of Thomas F. Torrance.
  Oxford University Press  2002

 本書は、神学的科学(科学としての神学)の提唱などによって、現代における「宗教と科学」の関係
 論に大きな貢献をした、トランスの研究書である。「自然科学に対する神学のインパクト」を論じた第
 3章など、トランスの思想的特徴を的確に論じているように思われる。 

51.Alsiter E. McGrath
  A Scientific Theology. volume 3 Theory
  T & T Clark  2003

 文献12、39に続く、マクグラスの『科学的神学』の第三巻目であり、これで全体の構想が完結した。
 この巻では、神学の科学的理論的根拠に関わる諸問題(理論の正当性、提示、説明、理論におけ
 る形而上学の位置など)を、科学哲学の議論を縦横に参照しながら、論じられている。

50.Juergen Moltmann
  Wissenschaft und Weisheit. Zum Gespraech zwischen Naturwissenschaft
  und Theologie.  
Chr.Kaiser  2002

  文献45の原著。

49. 薗田坦
   『クザーヌスと近世哲学』 創文社  2003

  本書は、日本におけるクザーヌス研究の第一人者である薗田氏によって、『<無限>の思惟−ニ
  クラス・クザーヌス研究』(文社)に続いて公にされた、本格的なクザーヌスについての論文集であ
  る。クザーヌスをルネサンスからカントという思想的文脈に位置づけ、キリスト教的人間観との関わ
  りを論じるなど、展開される議論の視野はきわめて広範であるが、第三部では、クザーヌスとの関
  わりで、近世初頭の自然哲学・自然科学やルネサンスの自然観が集中的に論じられており、その
  点で、「宗教と科学の関係性」というテーマにとっても、きわめて示唆にあふれた論文集と言える。

48. Linda Kirk
  Richard Cumberland and Natural Law.
  Secularisation of Thought in Seventeenth-Century England
.
  James Clarke & Co. 1987
  
  本書は、「宗教と科学」というテーマを直接扱ったものではないが、17世紀イギリスという「宗教と科
  学」の関係史において決定的な位置をしめる時代の知的状況(自然法をめぐる)を知る上で興味深い。
  その意味で、ここに収録した。

47. R.J. Berry
  God's Book of Works. The Nature and Theology of Nature. T & T Clark  2003

 本書は、「宗教と科学」における議論を代表する思想家BerryのGifford Lecturesが出版されたものであ
 る。「デザインと神」という自然神学の伝統的な問題(そして、それに基づく宗教と科学の関係性)と、環
 境・エコロジーという二つのテーマが、扱われている。

46.Mary C. Grey
  Sacred Longings: Ecofeminist Theology and Grobalization. SCM Press  2003

 本書の立場は、グローバル化という文脈で、エコ・フェミニスト神学を展開するものであるが、これは、エ
 コロジーがフェミニズムと結びつくだけでなく、本来、経済的あるいは政治的コンテキストを視野に入れる
 べきことを考えれば、当然のものと言えよう。  

45.Juergen Moltmann
  Science and Wisdom. SCM Press  2003
 
 本書は前年に出た Wissenschaft und Weisheit (Chr. Kaiser 2002)の英訳である(Translation by
  Margaret Kohl)。パネンベルクと共に現代ドイツを代表する神学者モルトマンの「宗教と科学」をめぐる議
 論を知る上で興味深い。最終章では、道教の宇宙生成論とキリスト教的な神の創造論との関わりが論じ
 られるなど、内容的にきわめて多岐にわたった論文集である。

44. J. Wentzel Vrede van Huyssteen (Editor in Chief)
   Encyclopedia of Science and Religion. Vol.1,2. Thomson/Gale 2003

 本書は、「宗教と科学」という問題に関わる百科事典であり、二巻合わせて1000頁を超える大きさである。
 百科事典の存在は、「宗教と科学」という研究テーマが一般的に認知されてきていることを示すものであり、
 このテーマに含まれる広範な事柄についての標準的な内容を知る上で、便利な道具と言えよう。

43.Muzaffar Iqbal
  Islam and Science. Ashgate  2002

 本書はそのタイトルからもわかるように、イスラームと科学との関わり(イスラームにおける科学的伝統とそ
 の源泉について)というテーマを正面から取り扱ったものである。イスラームと科学との関わりについては、
 近年科学史研究において多くの蓄積が見られるが、本書は、近代科学の世界観とクルアーン解釈との関
 わりなど、現代の問題にまで踏み込んだ論述を行っている点で、注目すべき研究であるように思われる。

42.Ted Peters
  Science, Theology, and Ethics. Ashgate  2003

 本書は、日本でもパネンベルク著『自然と神 自然の神学に向けて』(教文館)の編集者とした知られている
 テッド・ピータースの「宗教と科学」「自然の神学」をめぐる論文集である。これまで、ピータースについてはパ
 ネンベルク神学の立場から「宗教と科学」へアプローチしている研究者という印象が強かったが、本書によっ
 て、時間論への関心(第二部)、倫理的諸 問題への広範な取り組み(第三部〜第五部、進化論、核問題、
 病の癒しなど)といったピータース自身の思索について、より適切な理解が可能になるものと思われる。

41.水谷雅彦、越智貢、土屋俊編
  『情報倫理の構築』 新世社 2003年

 本書は、京都大学の倫理学(水谷雅彦氏)を中心にこの5年にわたって進められてきた「情報倫理の構築
 (FINE)」プロジェクトの成果の一端を公にしたものであり、同編集者による『情報倫理学 電子ネットワーク
 社会のエチカ』(ナカニシヤ書店 1998年)に続くものである。現代のキリスト教思想の文脈で「宗教と科学」
 を論じる場合、科学技術がもたらした倫理的問題(生命倫理や環境倫理)は主要な研究分野の一つであり、
 情報倫理はその中で注目されつつあるテーマである。情報倫理に関わる学(哲学・倫理学)としての「情報
 倫理学」に関心のある方にとって、本書は日本語で読める重要文献と言えよう。 

40.Niels Henrik Gregersen and Ulf Goerman
  Design and Disorder.Perspectives rom Science and Theology. T&T Clark 2002

 本書は、キリスト教思想において伝統的と言える「デザインからの神の存在論証」の意味を、現代科学のパ
 ースペクティブにおいて問い直した意欲的な論文集である。取り上げられるのは、カオス、自己組織化とい
 った、生命から宇宙論の様々な領域において、現在精力的に議論が進められつつある諸問題であるが、こ
 うした連関において、「宗教と科学」の関わりがいかに論じられ得るかは、今後追求すべき重要な課題と言
 えよう。

39. Alister E. McGrath
  A Scientific Theology. Volume2  Reality. T&T Clark  2002

 本書は、文献12に続く『科学的神学』の第二巻目(第7章〜11章)である。内容は、キリスト教神学と自然
 科学の合理性、自然神学、科学的実在論についての論争(実在論と反実在論、批判的実在論)、科学的
 神学における実在論的基礎(キリスト論中心になる理由など)といった神学的知の基礎をめぐる一連の諸問
 題が、自然科学における並行する諸問題との連関において取り扱われている。これは、「宗教と科学」の関
 係に関する理論的な中心テーマの一つである。

38.Jeppe Sinding Jensen and Luther H. Martin (ed.)
  Rationality and the Study of Religion.
  Routledge 2003

 現代宗教学は、1870年代から自立的な科学的営みとして始まったと言われるが、その学問的な基礎、つ
 まり宗教学の合理性については、必ずしも十分な反省あるいは理論化がなされているわけではない。本書
 に収められた諸論文は、こうした科学としての宗教学の基礎論に関わる諸問題を扱ったものであり、宗教学
 の学的基礎について関心のある者にとって興味深い内容となっている。「宗教と科学」の関係を問う上でも、
 宗教研究自体の科学性・合理性の基礎という問題は重要な視点であるように思われる。

37.Neil A. Manson (ed.)
  God and Design. The Teleological Argument and Modern Science.
  Routledge 2003

 本書は、自然神学と言えば神の存在論証、神の存在論証と言えば「デザインから論証」(デザイナーとしての
 神)と言うことができるほど、「宗教と科学」について典型的かつ古典的なテーマを扱った最新の論文集である。
 デザイン(意図)からの存在論証についての一般的な諸問題(デザインの意味など)を扱った第一部から始まり、
 物理学的宇宙論、多世界論、生物学といった現代科学との具体的な関わりまで、広範な議論が紹介されてお
 り、「目的論的な神の存在論証」の意義と現状を知りたい者にとっては、有意義な論文集である。

36.Alister E. McGrath
  Science & Religion. An Introduction,
  Blackwell  1999

 本書は35で邦訳を紹介したマクグラスの著書の原著。

35.A.E.マクグラス
  『科学と宗教』 教文館 2003年
 
 本書は、日本でも最近、『現代キリスト教神学思想事典』の編集者などとして知られるようになった、マクグラス
 の著書の翻訳である。マクグラスは、中世あるいは宗教改革以降のキリスト教思想研究はもちろん、科学思
 想・科学史や現代思想までをも含む広範な問題領域に精通した現代をもっとも注目されているキリスト教思想
 研究者の一人であり、明晰な論述を行うことでも知られている。本書は、マクグラスが長年暖めてきた「宗教と
 科学」(キリスト教と自然科学)に関わる本格的な研究プロジェクトの一環で、この研究テーマへの入門書として
 企画されたものであり、こうした問題に関心のある者には、必読の著作と言えよう。なお、本書については、後
 日『本のひろば』に簡単な書評を行うことが予定されているので、より詳細な内容紹介としては、そちらを参照い
 ただきたい。 

34.岡本裕一朗
  『異議あり! 生命・環境倫理学』 ナカニシヤ出版 2002年
 
 「今後の世代の出発点」を目指して、「生命倫理学・環境倫理学の終わりの確認」する。これが本書の基本的な
 スタンスである。70年代から始まった応用倫理学の展開を現時点から振り返り、何が問題であったかを確認す
 ることは、非常に重要な課題であり、本書は、「生命・環境」をテーマとした倫理学の今後を考える上で、入門的
 な意味でも、一読に値すると言えよう。

33.ハンス・ブルーメンベルク
   『コペルニクス的宇宙の生成 T』(後藤嘉也、小熊正久、座小田豊訳)
   法政大学出版局 2002年

32.池田清彦
   『構造主義と進化論』 海鳴社 1989年

31.松永俊男
   『ダーウィンの時代−科学と宗教−』 名古屋大学出版会 1996年

30.Gary B. Ferngren(ed.)
   Science & Religion. A Historical Introduction.
   The Johns Hopkins University Press  2002

29.I. Bernard Cohen & George E.. Smith (eds.)
   The Cambridge Companion To Newton.
   Cambridge University Press 2002
     12.Karin Figala: Newton's alchemy
     13.Maurizio Mamiani: Newton on prophecy and the Apocalypse
     14.Scott Mandelbrote: Newton and eighteenth-century Christianity

28.Juergen Renn (ed.)
   Galileo in Context
   Cambridge University Press  2001
     3. The Cotexts of the Church, Patrons, and Colleagues:
                            New Science and Traditional Power Structures
         Rivka Feldhay: Recent Narratives on Galileo and the Church or The Three Dogmas
                  of the Counter-Reformation

27.Richard L. Fern
   Nature, God and Humanity. Envisioning an Ethics of Nature
   Cambridge University Press  2002

26.Kenneth J. Howell
   God's Two Books.
    Copernican Cosmology and Biblical Interpretation in Eraly Modern Science.
   University of Notre Dame Press  2002

25.Dieter Hattrup
   Einstein und der wuerfende Gott.
    An den Grenzen des Wissens in Naturwissenschaft und Theologie

   Herder  2001(3.Auflage)

24.Chauncey Wright
   The Evolutionary Philosophy of Chauncey Wright (Ed. by Frank X. Ryan)
   Thoemmes Press  2000
      Volume 1: Philosophical Discussions (1877)
      Voiume 2: Letters of Chauncey Wright (1878)
      Volume 3: Influence and Legacy, Index

23.Neil Messer(ed.)
  Theological Issues in Bioethics. An Introduction with Readings.
  Dartion・Longman+Todd 2002 

 本書は、現代の生命倫理の諸テーマについて、その簡単な説明とそれに関連した神学テキストのアンソロジー
 とを組み合わせたものであり、「キリスト教思想と生命倫理」というテーマに関する教科書として使用するのに適
 しているように思われる。

22.岩波講座 『科学/技術と人間』全11巻別巻 岩波書店

 科学・技術の現代的な諸問題を扱った本講座は、「宗教と科学」との問題を考える上でも基本的なものと言える。

21.Christian Berg
  Theologie im technologisch0en Zeitalter. Das Werk Ian Barbour als Beitrag zur Verhaeltnis-
  bestimmung von Theologie zu Naturwissenschaft und Technik
 
  Kohlhammer 2002

  本書は、キリスト教思想研究において、「宗教と科学」という研究テーマをリードしてきたイアン・バーバー
  に関する研究書である。バーバーの業績の全体を理解する上で重要であるだけではなく、倫理や技術と
  いう問題連関に踏み込んだ考察を行っている点にも注目したい。

20.Fraser Watts
  Theology and Psychology.  Ashgate 2002

  宗教経験と認知科学、意識と脳といった問題設定は、宗教にとって重要なテーマであることは言うま
  でもない。本書は諸科学の知を関係づける中で、このテーマに積極的取り組んでいる。そのキーワード
  の一つは、「進化」であり、「進化的キリスト論」など、伝統的なキリスト教的象徴・教説を具体的に取り
  上げている点でも、興味深い。

19. Wolfgang Achtner, Stefan Kunz & Thomas Walter
  Dimensions of Time. The Structures of the Time of Humans, of the World, and of God.
  Eerdmans Publishing Company  2002( 1998 in German as Dimensionen der Zeit)

  本書は、時間をめぐる諸問題を、人間、世界、神という三つの観点から論じたものであり、古代以来
  の哲学あるいは神学の中心テーマである時間の問題を包括的に扱っている。本書では、この三つの
  観点を、時間の三極構造(The Tri-polar Structure of Time)としてモデル化しており、このような時
  間モデルが人間存在理解に対して有する発見的意義を意識している点が特徴的である。本書では、
  人間の時間(時間経験、時間意識)、世界の時間(物理学的な時間論)、神の時間(聖書の時間論)
  について、それぞれサマリーをつけた形で、三つの章にわけて論じられ、最後に体系的な考察が行わ
  れている(pp.167-172)。各章の内容については、それぞれ膨大な先行研究が存在しており、多くを
  期待する読者にはかなりの不満が残るものと思われるが、時間論の見取り図を理解するための出発
  点としては適当な文献と言えよう。

18. Philip Hefner, Karl E. Peters (Eds.)
  Zygon. Journal of Religion & Science. September 2002 vol.37, no.3

  これは、「宗教と科学」に関連した議論をリードする専門雑誌の最新号である。この文献紹介で、この雑誌
  を取り上げたのは、その第一論文、John F. Haught, " In Search of a God for Evolution: Paul Tillich
  and Pierre Teilhard de Chardin" を紹介したいと思ったからである (もちろん、ティリッヒ研究の新着書で
  扱っても良かったわけであるが)。シャルダンとティリッヒという問題設定は、ティリッヒ自身に即して必然性
  があるだけでなく、現代の問題状況において、キリスト教思想を考える際に重要なものと言えよう。西洋の
  形而上学的伝統と密接に関わるキリスト教思想の伝統的な思考枠と進化論との関わりという根本問題へ
  と切り込むための、手がかりの一つがここにあるように思われる。この論文のより詳しい要旨については、
  現代キリスト教思想研究会発行の『ティリッヒ研究』第5号の「あとがき」を参照ください。

17. James A. Wiseman
  Theology and Modern Science. Quest for Coherence.
   Continuum 2002

  本書は、神学と現代科学の関わりを、その歴史的な問題状況の中に位置づけ、神の活動と時空内の因果
  的な連続性という一般的な枠組みにおいて、宇宙論、創造論、進化論、摂理論、終末論を論じている。その
  点で、「宗教と科学」に関心のある者にとって、よい導入の書と言える。著者の教派的な背景からか、トマス・
  アクィナスやカール・ラーナーへの言及が目立つとの印象も受けるが、全体としては、偏りのなく、様々な神
  学的傾向が取り上げられていると言えよう。

16.Ian G.Barbour
  Nature, Human Nature, and God.
  Fortress Press  2002
  
  「宗教と科学」をめぐる諸問題に関しては大家の一人に数えられる著者の最新の著書である。序では、宗教
  思想に対する現代の科学理論の挑戦を5つの観点からまとめているが、それが序論である第一章(著者の
  有名な「対立」「独立」「対話」「統合」の類型論に基づく)に続く、第二章から第五章までの5つの章で具体的
  に展開されている。とくに、興味深いのは、進化論、遺伝工学、神経科学・人工知能という「生命」に関わる諸
  問題が詳しく論じられた上で、神学、倫理が取り扱われていることである。プロセス神学にかなりのページが
  さかれている。

15.David F. Noble
  The Religion of Technology.The Divinity of Man the Spirit of Invention.
  Penguin Books  1997 

  本書は科学技術と宗教との関係を主題的に取り上げた定評のある著書である。歴史的背景にさかのぼり、
  現代の問題(核、生命、環境)にまで迫っている。また、Appendixでは、ジェンダーの問題に触れている。

14.Juergen Huebner
  Theologie und biologische Entwicklungslehre.
  C.H.Beck 1966

  これは、最近古書店から入手した文献であり、新刊書ではなく、すでに40年近く前のものである。しかし、
  19,20世紀のキリスト教神学における進化論の問題状況を、主要な神学者に関して、詳細に論じており、
  現在も、このテーマに関して読むに値するものと言えよう。とくに、1938年以来のブルンナー神学を詳細に
  扱っており、また、次元概念に関して、カール・ハイムとティリッヒとの比較を(S.287-291)行っている点な
  ど、きわめて興味深い。

13.David Sloan Wilson
  Darwin's Cathedral. Evolution, Religion, and the Nature of Society.
  The University of Chicago Press 2002

  宗教と進化論というテーマについては、多くの議論の蓄積がある。本書では、宗教集団の有機体概念と社
  会の有機体概念との比較という視点が取られる。第三章では、カルヴィニズムにおける「意図からの論証」
  が論じられており、その点でも興味深い。

12. Alister E. McGrath
  A Scientific Theology. Volume I  Nature. T&T Clark  2001

  マグラスは、The Foundations of Dialogue in Science and Religion (1998)などで、キリスト教思想と科学の
  関係を論じてきているが、この著作では、「科学的神学」(トランスの構想に関係する)を体系的に展開する
  試みを開始している。内容的には、第二部「自然」において、古代ギリシャ以来の「自然」概念と聖書的な
  「創造」概念の検討ののちに、自然神学全般の問題が取り上げられている。自然神学の議論においては、
  バルトによる自然神学批判や、トランスによるバルト解釈の問題も触れられている。

11.伊藤邦武 
  『偶然の宇宙』 岩波書店 2002年6月
  
   本書は、京都大学文学研究科哲学専修を担当しておられる伊藤邦武氏が岩波書店の「双書 現代の哲
   学」のシリーズのために書き下ろされたものである。伊藤氏は、ヒュームの宗教批判(自然神学批判)とパ
   スカルの弁神論を対比しつつ(第I部)、現代物理学の宇宙論(ブッグバン宇宙論、人間原理、宇宙のアンサ
   ンブルなどの議論)の哲学的意味を論じているが、本書は哲学的にはもちろん、キリスト教思想研究にとっ
   ても重要な意味をもっていると言えよう。わたくし自身、キリスト教的な自然神学の現代的意義を考えている
   一人として、大きな知的刺激が与えられた。偶然的宇宙の説明をめぐる「未決着」さについて、本書は、「偶
   然の支配する世界の確率論的な『標準』というもののもつ、根本的に両義的な性格」(226ページ)を指摘す
   ることによって、議論を締めくくっているが、「数量的規準」と「価値的規準」という二重の視点のあいだの揺
   れ動きという事態の把握は、偶然的な宇宙における自己の存在理由を説明しようとする欲求・熱情にとりつ
   かれた人間的知性の実態をみごとに浮かび上がらせているように思われる。

10.Georg Singe:
   Gott im Chaos. Ein Beitrag zur Rezeption der Chaostheorie in der Theologie und deren
   praktisch-theologische Konsequenz
.   Peter Lang    2000
   
   本書は、カオス論あるいはフラクタル理論と神学(とくに神概念)との関わりを主題的に議論したものであり、
   自然科学と神学との積極的関係を考える上で興味深い内容をもっている。というのも、宇宙の様々なレベル
   における自己創造性は、宗教あるいは神の意味を考える上で今後重要な観点になるものと予想されるから
    である。

9.Elmer M. Colyer:
   How to read T.F.Torrance. Understanding his Trinitarian & Scientific Theology.
                                            InterVarsity Press 2001

   トランスは、現代イギリスを代表する神学者の一人であり、教父、宗教改革(カルヴァン)についての専門
   研究から、バルトの翻訳と研究、エキュメニズムについての議論まで、そして、自然科学とキリスト教神学
   の関係に関わる議論(=科学的神学の提唱)において、世界的に知られた思想家である。わたくしも、彼
   の著書の翻訳(水垣渉氏との共訳 『科学としての神学の基礎』 教文館。The Ground and Grammer of
   Theology. University Press of Virginia  1980)を行う機会を通して、注目していた人物であるが、「宗教と
   科学」をめぐる神学的問題に関心のある者には参照を要する神学者の一人であることは疑いえない。本書
   は、このトランスについて、伝記的事項の解説から始まって、広範な思想領域を的確に整理しつつ紹介して
   おり、トランス神学についてのよきガイドと言えよう。とくに、「宗教と科学」との直接的関わりで言えば、中
   でも第9章が重要である。

8.Yuri Balashov and Alex Rosenberg (eds.):
   Philosophy of Science. Contemporary Readings. Rourledge  2002
   
   現代の科学哲学の全般的状況を概観するには便利な本であり、「宗教と科学」というテーマに関して、とく
   に哲学的理論的問題に関心のある人には有益である。キリスト教思想の関連でも、次に挙げるパネンベ
   ルクやクレイトン、マーフィの議論を理解するには、一定程度以上の科学哲学についての知識が必要にな
   る。
       Wolfhart Pannenberg, Wissenschaftstheorie und Theologie, Suhrkamp Verlag  1977
       Philip Clayton, Explanation from Physics to Theology. An Essay in Rationality and Religion.
                                                 Yale University Press  1989
       Nancy Murphy, Theology in the Age of Scientific Reasoning

7.Celia E. Deane-Drummond:
   Creation Through Wisdom. Theology and the New Biology. T & T Clark  2000
   神学と現代科学との関わりを、聖書的な思想のコンテキストで考える際、おそらく重要なテーマとなるのは、
   旧約聖書(知恵文学)から新約聖書、そして教父学へと展開する「知恵のモチーフ」であろう。本書では、こ
   うした問題連関を、主に現代キリスト教思想を視野に入れつつ展開している。

6.J.Wentzel van Huyssteen:
   The Shaping of Rationality. Toward Interdisciplinarity in Theology and Science.
                                         Eerdmans Publishing Company   1999

   いわゆるポスト・モダンの思想的状況を背景にして、「合理性」の問題を、科学哲学、非・基礎付け主義、
   後・基礎付け主義、経験、多元性という観点から論じたものであるが、これらは神学(あるいは信仰)の
   「合理性」を考える上で、重要な論点となる。こうした問題で問題とされるべきパネンベルクについては言
   及されていないが、マーフィー(Nancy Murphy)は取り上げられおり、また日本でもこの分野で知られている、
   ポーキングホーンやピーコック、ギルキーにも触れられている。

5.John F.Kilner, Paige C.Cunningham, and W.David Hager (eds.):
   The Reproduction Revolution. A Christian Appraisal of Sexuality,
   Reproductive Technologies, and Family
.  Eerdmans Publishing Company   2000

   医療をめぐる広範な諸問題を扱った論文集。

4.David G. Hallman (ed.):
   Ecotheology. Voices from South and North. Orbis Books   1994

3.Steven Bouma-Prediger:
   for the beauty of the earth. a christian vision for creation care. Baker Academic   2001

2.Dieter T. Hessel (ed.):
   Theology for Earth Community. A Field Guide. Orbis Books  1996

   この論文集は、「キリスト教思想とエコロジー」というテーマでは、きわめて著名であるヘッセル編集ものの
   内、比較的最近のものの一つである。 Hessel をはじめ、 Berry,Rasmussen, Nash, Hiebert, Keller,
   Koyama, Cobb などの論文が収められており、問題状況の全体の構図を知るのに、お薦めできる一冊であ
   る。

1.Peter W. Bakken, Joan Gibb Engel, and J.Ronald Engel:
   Ecology, Justice, and Christian Faith. A Critical Guide to the Literature. Greenwood Press  
   1995

   この書物は、現代キリスト教思想との関連で問題になるエコロジーをめぐる諸テーマに関して、批判的サー
   ベイを行い、また、1961年から1993年までの、英語による主要な文献を、テーマごとに紹介したものであ
   り、「キリスト教思想とエコロジー」に関心のある人には、きわめて有益な文献である。


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