2005/3/9

 キリスト教思想入門(実験講座)

 このページでは、キリスト教思想に関心のある方のために、とくに研究方法を中心に簡単な講義を掲
 載する予定です。まだ、具体的な内容は検討中ですが、まず、キリスト教思想基本文献表を作成した
 いと考えています。これは、キリスト教思想を将来専門に研究したい方が、まず、日本語で読めるもの
 として、どんな文献から読み始めたらよいのか、という点に留意して作成するものであり、とくに、京都
 大学文学部キリスト教学の大学院で勉強したいと考えている人を念頭においたものです。今回(2001
 /12/27)にアップロードした基本文献表(PDFファイル)は、まだ試験的なものであり(掲載する文献
 の基準など、まだ十分に考えられておりません。目についた文献を中心に作成しました)、今後改訂す
 る予定です。文献表へのご意見をお寄せください。また、いずれ、個々の文献へのコメントも入れる予
 定です。 
  その他にも、今後様々な内容の講座を実験的に追加してゆきますので、ご期待ください。現在掲載の
 内容は以下の通りです。

<内容>
 A:キリスト教思想基本文献表
   1.基本文献表 (PDFファイル)  
   2.キリスト教思想・宗教思想研究文献表

 B:キリスト教思想研究入門・中級編
  
 C:レポートの書き方

 D:書評を書こう(書評の勧め)

 E:日本・アジアのキリスト教研究のために
    1.「内村鑑三と聖書」
    2.矢内原忠雄との関連で
        (1)「現実の宗教と宗教の理想」(『世界思想』2002/春、世界思想社)
        (2)「日本的霊性とキリスト教」(『鈴木大拙全集 第29巻』月報29、2002年2月 岩波書店)
    3.「海老名弾正・アンソロジー
    4.「海老名−植村キリスト論論争

 

  






A:キリスト教思想基本文献表

               文献表(PDFファイル) 
 A.全般
 B.聖書学
 C.キリスト教思想(古代・中世)
 D.キリスト教思想(宗教改革期・近代初頭)
 E.キリスト教思想(近代)
 F.現代キリスト教思想(主に20世紀以降)

B:キリスト教思想入門・中級編
                講義内容へ

 日本においてキリスト教思想の研究者を志す際の問題点の一つとして、初級から次のステップに移るための適当なカリキュラムが存在していない点が挙げられるように思われる。充実したスタッフのもとで行われる神学部のカリキュラムは別にして、通常、初級的な入門書を読んでキリスト教思想に関心を持った場合に、次にどのように学習を継続してゆくのかとなると、壁に突き当たることが多いのではないだろうか。この事情は、わたくしが現在勤務している京都大学キリスト教学の場合も同様であり、2回生から単位の取れる学部生対象の概論講義と、講義者が自らの研究的関心から行う特殊講義(主に大学院生対象)との間には、レベルにおいて大きな開きがあるように思われる。そこで、こうした概論(初級)と特殊講義(上級?)とをつなぐ講義として、1999年度に学部生向けの特殊講義を試みた。ここにその際に使用した講義プリントを公開し、中級レベルの思想入門のあり方について、一つの方向性を示してみたい。
 なお、京都大学での講義は、時間数の関係で、カリキュラムの一部を省略して行ったため、それを補うものとして、同様の趣旨で行った大谷大学での講義プリントを使用した(とくに、第二部=後期の第4講:宗教的多元性の部分)。プリントは、PDFファイルで掲載。
 内容の概略は、以下の通りである。

  導入:宗教としてのキリスト教
         宗教現象としてのキリスト教を、現代宗教学の手法によって構造分析した。信仰、神、象徴(神話・
         儀礼)の問題。
  第一部(=前期):聖書から宗教改革まで
     第1講:聖書
           正典論、啓示という聖書の基本性格から、その思想内容(創造、知恵、終末)へ
     第2講:古代キリスト教
           国教化、正統と異端、三位一体論・キリスト論
     第3講:中世キリスト教から宗教改革
           啓示神学と自然神学、罪・サクラメント、宗教改革
  第二部(=後期):近代世界のキリスト教から現代まで     
           ここでのテーマは、宗教本質論(宗教とは何か)、宗教批判(なぜ、宗教なのか)、
           宗教多元性(どの宗教なのか) という三つの基本問題を歴史的背景に注目しつつ、
           論じることである。
     第1講:啓蒙思想
     第2講:宗教本質論・古典的な宗教哲学
          理神論、カント、シュライエルマッハー、その線でオットーとユング(省略)も扱う
     第3講:宗教批判
          フォイエルバッハ、マルクス、ニーチェ、フロイト(講義として時間の関係で省略)、
          キルケゴール・バルト、ボンヘッファー
     第4講:宗教的多元性
          エキュメニズム、宗教間対話、インドネシアを実例として

                             トップページへ

inserted by FC2 system