研究紹介1(研究計画)    2007年度版
                               (2007/3/2)    
 
                過去の計画
                 (2001年度2003年度2004年度
                  2005年度、
2006年度

 この頁では、現時点における2007年度の研究計画を紹介してみたい。ただし、研究計画とは研究の進展に伴って柔軟に変更されるものであり、とくに2007年度の場合、やや未決定の不確定要素がいくつか存在しているため、研究計画については、かなりの手直しの必要性が予想される。したがって、ここでの研究計画は、あくまで現時点のものである。また、この研究計画は、わたくし自身の研究のための覚書きであり、あくまで概略的なものである。

 <内容>
  1.宗教と科学
  2.日本・アジアのキリスト教と宗教的多元性
  3.近現代のキリスト教思想
  4.寛容・対話・公共性
  5.その他

1.宗教と科学
 (1)この「宗教と科学」のテーマとの本格的な取り組みも、すでに10年間に及び、2006年度には、学術振興会の出版助成を得て、『自然神学再考-近代世界とキリスト教-』(晃洋書房)として、これまでの研究成果の一端を出版することができた。今後は、南山大学宗教文化研究所のプロジェクトへの参加などを通し、さらに研究の深化を目ざしたい。とくに、「宗教と科学」関係論の理論的基礎(形而上学的な問題)について、本格的に研究を行いたい。 

 (2)京都大学における特殊講義および演習
 京都大学での特殊講義と演習では、ここ何年にもわたって、「宗教と科学」に関連したテーマやテキストを取り上げてきた。しかし、特殊講義に関しては、一連の構想は一応の完結をみたので、2007年度は、「4.寛容・対話・公共性」に関連した新しいテーマを論じる予定である。
  2007年度の演習では、マクグラス、プロセス神学に続いて、モルトマンの次のテキストによって、「宗教と科学」のテーマに継続的に取り組みたい。
  Jurgen Moltmann, Wissenschaft und Weisheit. Zum Gesprach     zwischen Naturwissenschaft und Theologie, Chr.Kaiser  2002.
 
 (3)現代キリスト教思想研究会(「宗教と科学」研究会
 この研究会については、どのような仕方で活動ができるかについて、見通しはたっていない。基本的に未定である。

 (4)その他
 以前から行ってきた、南山宗教文化研究所との交流の一環として、南山宗教文化研究所での研究プロジェクト「科学・こころ・宗教」への参加を継続して行う予定である。今後の展開が楽しみである。

2.日本・アジアのキリスト教と宗教的多元性
 (1)京都大学における演習(日本・アジアのキリスト教-植村正久と高倉徳太郎-)
 2007年度は、2005年度から継続で、植村正久の日本論と共に、その後継者といえる高倉徳太郎の『福音的基督教』を取り上げる。こうした研究を前提として、2008年度からは、いよいよ、植村から、日本のキリスト教思想における、弁証神学や宗教哲学(波多野精一ら)への展開へと議論を進めることができるものと考えている。

 (2)現代キリスト教思想研究会(「アジアと宗教的多元性」研究会
 月1回の研究会と年度末の研究雑誌の発行が主な活動であるが、各参加メンバーの研究テーマに即して言えば、2007年度も日本のキリスト教思想史(キリスト教思想と哲学、日韓キリスト教の関係史などを含む)の諸問題を様々な角度から取り扱うことになるものと思われる。少しずつ、新しいメンバーも加えつつ、刺激的で創造的な討論の場を構築し、共同研究も具体化してゆきたい。『アジア・キリスト教・多元性』の刊行はこれまで通りである。
 
3.近現代キリスト教思想研究
 (1)ティリッヒ研究-現代キリスト教思想研究会(「ティリッヒ」研究会)として-
 2007年度は、2006年度同様に、雑誌『ティリッヒ研究』の刊行を中心に、可能ならば、学会での共同研究についても実現を図りたい。なお、かねてより計画してきた、Web上における研究会活動についても、その具体化のめどをたてたいと考えている。

(2)その他
 モルトマン、パネンベルク、マクフェイグ、リクールなど、取り組むべき課題は少なくない。2007年度は、こうした中で、社会思想や政治思想との関連性を念頭に研究を継続したい。

4.寛容・対話・公共性
 2007年度は、昨年から徐々に準備を進めてきた、「寛容・対話・公共性」という研究テーマに本格的に取り組む予定である。一つは、京都大学の特殊講義でこのテーマを集中的に論じること、もう一つは、「近代/ポスト近代とキリスト教」研究会の具体化である。後者については、参加メンバーに関して、少しずつ見通しがつきつつあるので、4月からいよいよスタートできる体制を整えたい。

5.その他
 以上の他に、昨年10月から、京都大学で日本基督教学会事務局を引き受けたことに伴って、学会事務に関する業務が増えつつある。これを単に事務作業の増加という仕方で捉えるのではなく、新しい研究(海外との交流なども)へとつなげてゆくことを試みたい。また、申請中の研究計画の採択などの結果によっては、それに応じた研究の展開が必要になるが、これらの点については、見通しが立った時点で考えたい。                  

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