研究紹介1(研究計画)    2008年度版
                               (2008/3/7)    
 
                過去の計画
                 (2001年度2003年度2004年度
                  2005年度、
2006年度2007年度

 この頁では、現時点における2008年度の研究計画を紹介してみたい。ただし、研究計画とは研究の進展に伴って柔軟に変更されるものであり、現時点では、不確定要素がいくつか存在しているため、研究計画については、一定の手直しの必要性が予想される。したがって、ここでの研究計画は、あくまで現時点のものである。また、この研究計画は、わたくし自身の研究のための覚書きであり、あくまで概略的なものである。

 <内容>
  1.宗教と科学
  2.日本・アジアのキリスト教と宗教的多元性
  3.近現代のキリスト教思想
  4.近代/ポスト近代とキリスト教(寛容・対話・公共性)
  5.その他

1.宗教と科学
 (1)この「宗教と科学」のテーマとの本格的な取り組みも、すでに10年間に及び、2007年2月には、学術振興会の出版助成を得て、『自然神学再考-近代世界とキリスト教-』(晃洋書房)として、これまでの研究成果の一端を出版することができた。しかし、「宗教と科学」をめぐっては、「宗教と科学」研究会に加え(数ヶ月に一回の無理のないペースで継続中)、この数年来の南山大学宗教文化研究所のプロジェクト(GPSSの「科学 こころ 宗教」)への参加、そして宗教倫理学会での「脳科学と宗教」というテーマへの取り組みなど、新しい展開も予想される。今年度、集中的に考える必要があるのか、「脳 心 宗教」という問題連関である。また、「宗教思想と環境」をテーマにした、韓国での国際シンポジウム(大韓仏教研究所との共同企画)も予定されており、かなり忙しくなりそうである。次の(2)ともつないで、研究を進める必要がある(そのほかにも未決定の企画が存在する)。

 (2)京都大学における特殊講義および演習
 京都大学での特殊講義と演習では、ここ何年にもわたって、「宗教と科学」に関連したテーマやテキストを取り上げてきた。しかし、特殊講義に関しては、一連の構想は一応の完結をみたので、2007年度からは、「4.寛容・対話・公共性」に関連した内容に、テーマを移行させつつある。しかし、2008年度は、(1)との関連もあって、前期の特殊講義は、「宗教と科学」の問題を扱う予定である。
  2008年度の演習では、マクグラス、プロセス神学、モルトマンに続いて(テキストとして使用していたモルトマンの文献の邦訳が出版されたためにテキストを変更)、パネンベルクの次のテキストによって、「宗教と科学」のテーマに継続的に取り組みたい。
  Wolfhart Pannnenberg, Natur und Mensch-und die Zukunft              der Schoepfung, Vandenhoeck & Ruprecht  2000.
 
 (3)現代キリスト教思想研究会(「宗教と科学」研究会
 (1)でも述べたように、この研究会は、参加メンバーに無理のないペースということで、数ヶ月に一回程度の研究会活動を継続している。2008年度も、基本的に変わりないと思われる。テーマは、「科学 環境 キリスト教」である。新しい参加メンバーを募りたい。

 (4)その他
 2008年度も、以前から行ってきた、南山宗教文化研究所との交流の一環として、南山宗教文化研究所での研究プロジェクト「科学・こころ・宗教」への参加を継続して行う予定である。今後の展開が楽しみである。

2.日本・アジアのキリスト教と宗教的多元性
 (1)京都大学における演習(日本・アジアのキリスト教-波多野精一-)
 2008年度は、2005年度から継続してきた植村正久から、いよいよ波多野精一へとテーマを進めることになる(間に、高倉徳太郎を挟んではいるが)。波多野を取り上げる目的は、波多野宗教哲学の近代日本のキリスト教思想研究における決定的な意義を解明することはもちろんであるが、加えて、アジア・日本におけるキリスト教思想研究の今後の可能性を展望することであり、これがこの演習の本来の意図にほかならない。したがって、波多野については、今後数年にわたって取り上げることになり、2008年度は、宗教哲学三部作以前の文献を精読する予定である。

 (2)現代キリスト教思想研究会(「アジアと宗教的多元性」研究会
 月1回の研究会と年度末の研究雑誌の発行が主な活動であるが、各参加メンバーの研究テーマに即して言えば、2008年度も日本のキリスト教思想史(キリスト教思想と哲学、日韓キリスト教の関係史などを含む)の諸問題を様々な角度から取り扱うことになるものと思われる。少しずつ、新しいメンバーも加えつつ、刺激的で創造的な討論の場を構築し、共同研究も具体化してゆきたい。具体的には、日本宗教学会での共同パネルへの参加の検討、あるいは数年後の論文集刊行などを構想しつつある。なお、『アジア・キリスト教・多元性』の刊行はこれまで通りである。
 
3.近現代キリスト教思想研究
 (1)ティリッヒ研究-現代キリスト教思想研究会(「ティリッヒ」研究会)として-
 「2007年度は、2006年度同様に、雑誌『ティリッヒ研究』の刊行を中心に、可能ならば、学会での共同研究についても実現を図りたい。なお、かねてより計画してきた、Web上における研究会活動についても、その具体化のめどをたてたいと考えている。」という文章に付け加えるものは、現時点ではとくにない。

(2)その他
 モルトマン、パネンベルク、マクフェイグ、リクールなど、取り組むべき課題は少なくない。2008年度は、2007年度に引き続き社会思想や政治思想との関連性を念頭に研究を継続したい。

4.「近代/ポスト近代とキリスト教」(寛容・対話・公共性)
 2008年度は、2007年度に引き続き、「寛容・対話・公共性」という研究テーマに本格的に取り組む予定である。一つは、京都大学の特殊講義でこのテーマを集中的に論じること、もう一つは、「近代/ポスト近代とキリスト教」研究会である。この研究会も2年目に入るが、2007年3月の報告書「キリスト教と近代化の諸相」に続き、もう一度、具体的なテーマ設定のもとで、研究成果を報告書にまとめ、さらに次の段階で、論文集の出版を実現させる予定である。

5.その他
 以上の他に、2006年10月に京都大学キリスト教学で引き受けた日本基督教学会事務局も、2008年10月からは二期目に入り、学会事務に関する業務には一定程度なれてきたものの、引き続き大変な状況が続く。「これを単に事務作業の増加という仕方で捉えるのではなく、新しい研究(海外との交流なども)へとつなげてゆくことを試みたい。」というのは、今後の努力目標である。なお、申請中の研究企画の採択などの結果によっては、それに応じた研究の展開が必要になるが、これらの点については、見通しが立った時点で考えたい。                  

トップページへ/ページトップへ
inserted by FC2 system